研究課題/領域番号 |
22K09619
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
中村 圭一郎 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (90359886)
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研究分担者 |
増山 寿 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (30314678)
小川 千加子 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (50583035)
松岡 敬典 岡山大学, 大学病院, 助教 (60835057)
岡本 和浩 岡山大学, 大学病院, 医員 (80774174)
依田 尚之 岡山大学, 大学病院, 助教 (80834928)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | RNA編集 / 子宮体癌 / 子宮肉腫 |
研究開始時の研究の概要 |
子宮体癌はThe Cancer Genome Atlas(TCGA)による総合的ゲノム解析結果から4つのサブタイプに分類され,我々も遺伝子解析を鋭意遂行してきた。しかしゲノム変異情報だけによるPrecision Medicineには限界があり,より細やかなPersonalized Medicineへ繋ぐためにはゲノム変異だけでない新規治療戦略が必要である。そこでRNA 編集に着目し,子宮体癌におけるRNA 編集の意義について,研究を行う予定である。
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研究実績の概要 |
子宮体癌はTCGAによる総合的ゲノム解析結果から4つのサブタイプに分類され,我々も遺伝子解析を鋭意遂行し,遺伝子変異の照合を行い,ゲノム解析を推進してきた。しかしゲノム変異情報だけによるPrecision Medicineには限界があり,より細やかなPersonalized Medicineへ繋ぐためにはゲノム変異だけでない新規治療戦略が必要である。癌細胞は「RNA 編集」といわれるRNA 転写後塩基の修飾が行われ,タンパクの構造変化やマイクロRNAとの親和性の変化を引き起こし,癌の悪性度を増すことが報告されているが,子宮体癌におけるRNA 編集の意義についてはいまだ未知のままである。そこで子宮体癌におけるRNA編集の意義を解析するとともにこれをターゲットとした新しい癌治療戦略の確立を目指している。現在,RNA 編集の解析が注目され始めてきているが,しかし婦人科領域でのADAR1の詳細な検討は少なく,子宮体癌研究は詳細な検討は,いまだ数例しか報告されていない。そこで本研究は,子宮体癌のRNA編集意義を解析するとともに,これをターゲットとした新しい癌治療戦略の確立を目指すことを目的にした。我々は今まで採取したヒト検体を用いて,ADAR1発現を確認し,他の組織と比較し,癌肉腫に高発現しており、予後においてもADAR1高発現は低発現よりも予後不良であることが認められた。令和5年度は、当初予定していたTCGAから発表された4つのサブタイプとの相関関係や子宮体癌におけるADAR1のメカニズム解明を行っうため,免疫染色法やサンガー法を用いて,子宮体癌とRNA編集関係を明確にするために研究を遂行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
子宮体癌検体からRNA抽出や免疫染色法を用いて、RNA編集の解析を行っている。メタボローム解析からRNA編集との関係性を同定し、基礎的な実験からRNA編集酵素ADAR2の高発現と腫瘍悪性度の相関を示しており、今回の検討と矛盾しないものであった。より症例を増やし、基礎検討を行うことで、子宮体癌とRNA編集の関係性について、検討を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
子宮体癌検体からRNA抽出や免疫染色法を用いて、RNA編集の解析を行っている。メタボローム解析からRNA編集との関係性を同定し、基礎的な実験からRNA編集酵素ADAR2の高発現と腫瘍悪性度の相関を示しており、今回の結果と矛盾しないものであった。病理学的因子や進行期等の臨床的因子との比較は行ったが、分子生物学的な因子との統合解析は実施できていなかった。また症例数が54症例と少なかったため、症例数を増やしてより詳細な解析が必要と考えている。RNA編集が子宮体癌の予後や臨床病理学的因子に深く関係していることが判明した場合、臨床応用につなげるため、miRNAへの編集に着目した子宮体癌のLiquid biopsyの可能性を探る。血液や尿から採取したmiRNAをsequencingすることでRNA編集レベルを捉え、診断や予後予測が可能になる可能性がある。本研究ではその基礎的部分の実験として腫瘍組織でのmiRNAの網羅的解析を実施する。これまで、子宮体癌におけるmiRNAとRNA編集の関係性に関する報告はないが、他のがん種では、配列の変化によるmiRNAの機能の変化や、miRNA成熟過程への影響によるmiRNAの発現の変化が報告されている。まず、子宮体癌におけるmiRNAの発現・配列の変化を網羅的に解析することで、臨床においてより簡便にRNA編集を捉えるツールとなりうるか検証する。
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