研究課題/領域番号 |
22K09624
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
高橋 宏典 自治医科大学, 医学部, 教授 (80544303)
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研究分担者 |
白砂 孔明 東京農業大学, 農学部, 教授 (20552780)
小古山 学 自治医科大学, 医学部, 助教 (60741692)
瀧澤 俊広 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (90271220)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | GDF15 / 悪阻 / 妊娠高血圧腎症 / 妊娠糖尿病 / バイオマーカー / 癒着胎盤 / 前置胎盤 / 絨毛外栄養膜 / マイクロRNA / デジタルPCR / 妊娠初期 |
研究開始時の研究の概要 |
癒着胎盤は分娩時に大出血し妊婦の生命を脅かす疾患で、妊婦高年化や体外受精妊娠増加に伴い発生頻度が上昇している。この分娩前診断は未確立で、分娩前に診断されていない例では想定外の大出血を示す。癒着胎盤における分娩前診断の精度向上を目指し、母体血中のmicroRNA(miRNA)に注目し、発症予知に関する研究を行う。血中miRNA測定は精度の良いデジタルPCRを用いて行う。新規予知miRNAを同定後は、このmiRNAが生体にどのような影響を及ぼすかin vitroで検証する。
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研究実績の概要 |
1. 妊娠初期のバイオマーカー検体を約1500例収集し得た。このうち、周産期予後が収集できた症例も1200例を超えた。 2. 癒着胎盤、前置胎盤に関連する論文を臨床面から2本執筆(1本筆頭著者、1本責任著者)した。 3. 妊娠糖尿病、妊娠高血圧腎症、悪阻のバイオマーカーとして注目されているGDF15に着目した。単胎妊娠においては妊娠初期にGDF15高値の方が妊娠悪阻の発症率が高率であると報告されている(Fejzo, 2023)。妊娠高血圧腎症や妊娠糖尿病に関しても、単胎妊娠においてバイオマーカーになる可能性が報告されている。そこで、悪阻症状の出やすい双胎では単胎と比し、どう異なるかを検討した。前向きコホートで妊娠初期(10-13週)段階での血清を集積できた双胎160例のGDF15値をELISA法で検討した。まず双胎妊娠では単胎妊娠に比し、GDF15が約2倍以上の値を示した(双胎 mean 2790 (95%CI 2435-3145) vs. 単胎 mean 1164 (95%CI 161-2166): P=0.0029)。次に悪阻入院した双胎4例としなかった双胎156例とを比較したところ、入院例 mean 9124 (95%CI 6974-11274) vs. 非入院例 mean 2628 (95%CI 2283-2972)で入院例が有意に高値であった(P<0.001)。妊娠糖尿病についてはその後妊娠糖尿病発症例(N=24)のGDF15 mean 3816 (95%CI 2862-4769) vs. 非発症(N=136) mean 2609 (95%CI 2208-3010)で有意差を認めた(P=0.0225)。一方、妊娠高血圧腎症の有無においては両群間に有意差を認めなかった。これらの成果を国際誌に投稿すべく執筆中である。 4. 血液中のバイオマーカーの検討を行う上でほとんどのmicroRNAが包含されているエクソソームに注目した。妊娠高血圧腎症のエクソソームを抽出し、コントロール群とエクソソーム粒子数をCD9を使用し、ELISA法で定量比較したところ、明らかに妊娠高血圧腎症群の方が明らかにエクソソーム粒子数は増加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進んでいると考える。血漿、血清からmiRNAを抽出し、デジタルPCRによるバイオマーカー研究を考えていたが、試薬の入手困難および結果が上手く得られなかった。そこで、ストックしてある妊娠初期血清の中で希少価値のある双胎妊娠160例にフォーカスした。悪阻のバイオマーカーとして注目されているGDF15を双胎妊娠で測定したところ新規データを得た。
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今後の研究の推進方策 |
双胎におけるGDF15のバイオマーカーの可能性を提起するような形で論文化を目指す。同時にこの分子の分子機構を明らかにすべく、細胞株もしくは初代培養株を用い、in vitroおよびex vivoで局在やこの分子の制御に関わるmicroRNA研究をすすめる。また、エクソソーム中の網羅的解析(RNA-seq)からGDF15をターゲットとするmicroRNAを抽出できたらと考えている。
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