研究課題/領域番号 |
22K09633
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪急性期・総合医療センター(臨床研究支援センター) |
研究代表者 |
辻 優大 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪急性期・総合医療センター(臨床研究支援センター), 産科・婦人科, 胚培養士 (40866498)
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研究分担者 |
瀧内 剛 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任准教授(常勤) (40733358)
竹村 昌彦 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪急性期・総合医療センター(臨床研究支援センター), 産科・婦人科, 主任部長 (50294062)
木村 正 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90240845)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 精子 / 生殖補助医療 / 細菌叢 / 受精 / DNA断片化 / 発生 |
研究開始時の研究の概要 |
少子晩婚化により、加速度的に患者数が増加している生殖補助医療の分野では、受精卵 (胚) の発生能改善が必須の課題といえる。精子は生成されてから射出されるまでの間を細菌叢と共存しているが、恒常性を失った細菌叢は精子を取り巻く環境を変化させ、精子核DNA損傷や精液所見の低下を誘起する因子の一つとして考えられる。 本研究では、精子の質に関わる精漿内細菌叢の特性を明らかにし、標的となる細菌叢を制御することで、胚発生能の改善を目指す。本研究は、これまで女性依存的であった不妊治療に対し、男性側から行う胚発生能改善への取り組みであり、体外受精のみでなく一般不妊治療への応用も期待される。
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研究実績の概要 |
生殖補助医療において、妊娠・出産に至る治療成績は依然として低く、出児に至る成功率は採卵周期当たり10%未満とされている。その要因は様々であるが、高い発生能を有する受精卵(胚)を得られる頻度が低いことは、大きな原因といえる。 ヒト胚は、卵細胞質内に蓄積された卵性RNAを分解しながら、母方(卵子)依存的に受精以降の発生を始める。一方、胚性ゲノムの活性化が起こる初期分割(8細胞)期以降の発生には、卵子に加えて父方(精子)に由来するゲノム発現が重要になる。すなわち、胚発生に関わる精子の質を改善することができれば、分割期以降の胚発生能を改善できる可能性が考えられる。精子は生成されてから射出されるまでの間を、種々の細菌集団(細菌叢)と共存しているが、恒常性を失った細菌叢は精子を取り巻く環境を変化させ、精子核DNA損傷や精液所見の低下を誘起する因子の一つとして考えられる。 そこで本研究では、①精子の質(精子核DNA、および精子運動性能)に関わる精漿内細菌叢の同定、ならびに②介入試験による精漿内細菌叢の改善から、精子の質ならびに胚発生能の改善を目指す。 本研究の成果は、これまで女性依存的であった不妊治療に対し、男性の立場から胚発生能改善への取り組み、ならびに一般不妊治療への応用も可能な内容であり、患者が担ってきた精神的・肉体的・経済的負担が少ない治療法開発に対する貢献が期待される。 本年度は、研究①および②を実施するための実験系の確立と、指標とすべき胚発生能に関わる精液所見項目の同定に取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当センターに起こった大規模システム障害により、治療成績に関する集約データが消失したため、消失データの再現(散在したデータの再集約)業務が生じた。そのため、研究計画の一部に遅れが出ており、未だ胚発生能に関わる精液所見項目の同定に至っていない。 一方、実験系の確立は順当に進んでいる。また、研究②の一環として、精漿内細菌叢の恒常性について先行して検証を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画書に記したとおりに研究を進めていく。すなわち、データの復旧が完了次第、胚発生能に関わる精液所見項目を同定する。次いで、精液所見あるいは胚発生能に直接的に関与する精漿内細菌叢の同定を目指す。
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