研究課題/領域番号 |
22K09638
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小谷 友美 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院教授 (70359751)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 早産 / 絨毛膜羊膜炎 / ミクログリア / miRNA / 神経発達症 / IL-17 / 自閉症スペクトラム |
研究開始時の研究の概要 |
近年、女性が多様な生き方を選択・実現できる社会へと変容し、晩産化や生殖補助医療による妊娠が増加している。さらに、食行動も変化している。これらの生活様式の変化は、妊娠高血圧腎症や早産など周産期合併症の発症リスクと関連する。本研究では、効率的な戦略として、妊娠前からの予防戦略を開発する。動物モデルや臨床検体を用いた解析を実施し、母体腸内細菌叢および関連する食行動などを統合的に理解する知見を確立し、最終的には、児の神経学的後遺症発症を防止する妊娠前からの介入法の開発を目指す。
|
研究実績の概要 |
新生仔マウス脳より回収した初代培養ミクログリアを用いて、IL-17A刺激によるmiRNAの発現変化の網羅的解析から、mmu-miRNA-206-3pの発現増加を明らかにした。mmu-miRNA-206-3pの発現増加により標的遺伝子であるIgf-1, Hdac4の発現低下を確認した。これらの変化は自閉症スペクトラムや胎内で炎症環境に曝露神経に起因する神経発達症モデル(maternal immune activation;MIA)での変化に類似していた。mmu-miRNA-206-3pはhsa-miRNA-206-3pとも相同性があり、共通する標的遺伝子を有しており、今後の臨床応用につながる結果と考えられ、論文発表にいたった。また、MIA仮説についての総説を作成し、国際書籍に掲載予定となっている。リポポリ多糖誘導によるMIA動物モデルにおいてCD11cミクログリア分画の発達期の一過性増加が弱いという結果を得た。発達期に一過性増加を示すことは、in silico解析でマウス、ヒトでも確認できたが、寿命の相違から、時期はヒトのほうが遅くなっていた。また、ASDの剖検脳のin scilico解析では、ASDで少ないことが示された。また前述の論文のように、絨毛膜羊膜炎母体の臍帯血で、コントールと比べ、IL-17Aの増加、IGF-1の低下を示した。髄鞘化所見とCD11cミクログリアとの関連を解析した。現在、異常腸内細菌叢モデルとして、抗生剤投与モデルでの早産率が高くなることが判明したが、早産仔の生存率が低いため、異常腸内細菌叢モデルとして既報告のある、高脂肪食モデルを作成した。仔の行動実験で異常所見を認めており、現在解析を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MIAの病態機序のひとつとしてIL-17A/miR-216-3pの可能性を明らかにして論文発表に至った。またMIAの病態機序について総説を作成した。MIA病態機序についてミクログリアの表面マーカーCD11cに着目した研究を論文投稿まですすめることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
ヒトと動物モデルとのトランスレーションを目指している。高脂肪食負荷期間を短縮して妊娠率向上に努めた。今後は肥満妊婦からの臍帯血などの検討も実施予定である。
|