研究課題/領域番号 |
22K09643
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
吉元 千陽 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (00526725)
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研究分担者 |
山田 有紀 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (20588537)
今中 聖悟 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (20790306)
小林 浩 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (40178330)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 子宮内膜症 |
研究開始時の研究の概要 |
嚢胞内の鉄にはヘム鉄、自由鉄、2価の鉄、3価の鉄などが存在し、濃度測定は外注検査ができないため、自ら測定しなければならないという煩雑さがある。一方、磁気共鳴緩和測定は既存のMRIで測定可能であり、汎用性が高いが、現時点では鉄以外のカチオンの影響を受けることで、R2値が正確に鉄濃度を反映しないという欠点がある。我々は、本研究に先立ち、嚢胞内鉄濃度はEFIと負の相関を示したことから、『鉄以外のカチオンの影響を受けない磁気共鳴緩和測定法が確立されれば、術前に非侵襲的にEFIを予測できる。』とする仮説を立てるに至った。本研究はこの実証を目指して計画されたものである。
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研究実績の概要 |
鉄濃度だけを正確に測定する磁気共鳴緩和測定系の開発を行うため、MRI装置(Magnetom Verio, Siemens)を診療時間外に利用して以下の基礎実験を行った。アガロースゲル内に50mlシリンジを8本たてて固め、チューブ内に測定物質として濃度の異なる各種カチオン(鉄、カルシウム、マグネシウム、銅、亜鉛溶液)およびチョコレート嚢胞液を入れ、化学シフト効果(核磁気共鳴周波数のずれを利用して原子の種類を同定する方法)に基づいてMagnetic resonance spectroscopy, MRS値)を計測しカチオン分子種ごとの特性を調べた。同じ検体を、鉄(波長259.9 nm)、カルシウム(396.8 nm)、マグネシウム(279.6 nm)、銅(324.8 nm)、および亜鉛(213.9 nm)の各波長を用いて原子吸光分析(試料を高温中で原子化して、そこに光を照射し、その吸収スペクトルを測定することで、試料中の元素の定量を行う)によって定量し、MRS値と比較した。その結果、鉄濃度はMRS値と正の相関を示したが、マグネシウム、銅、および亜鉛濃度はMRI値に反映しなかった。しかし、カルシウムの存在はMRS値を上昇させることが判明した。冷凍庫に保管してある子宮内膜症嚢胞液15例程度を用いて、原子吸光分析とMRS値から嚢胞内カチオンの種類と濃度をMRIを用いてex vivoで計測した。現在、サンプルに含まれる鉄、カルシウム、マグネシウム、銅、および亜鉛濃度を測定予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
冷凍庫に保管してある残り子宮内膜症嚢胞液35例を用いて、原子吸光分析とMRS値から嚢胞内カチオンの種類と濃度をMRIを用いてex vivoで計測しているところである。現在、サンプルに含まれる鉄、カルシウム、マグネシウム、銅、および亜鉛濃度を測定予定であり、予定通りの進捗である。
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今後の研究の推進方策 |
MRIを用いてMRSを画像化し、鉄のピークからMRS値をex vivoで算出する(ここで得られた値を「MRS鉄値」と定義する)ため、技術者と連携するためのWeb会議を開催する予定である。その後に、検証実験として、内膜症患者の残余嚢胞液を用いてex vivoで鉄濃度、従来のR2値とMRS鉄値を測定し、それぞれの相関係数を比較する予定である。次に、カチオンの影響を受けない磁気共鳴緩和測定法「MRS鉄値」を用いて、EFIとの相関を調査するため、内膜症術後の患者のデータベースから術後不妊治療(一般不妊治療とART成功・不成例に分ける)の実施例を抽出する。EFI をHistorical score、Surgical scoreの項目別に、MRS鉄値との相関を検証する予定である。
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