研究課題/領域番号 |
22K09649
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
三塚 加奈子 東海大学, 医学部, 講師 (00514639)
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研究分担者 |
石本 人士 東海大学, 医学部, 教授 (10212937)
西島 義博 東海大学, 医学部, 講師 (80453710)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | SPARC / 細胞性栄養膜細胞 / 合胞体化 / Matricellular蛋白 / 合胞体栄養膜細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
妊娠高血圧腎症や胎児発育不全の病態を理解するためには、胎盤形成機序の理解は欠かせない。本研究ではMatricellular蛋白に属するSPARCに着目し、SPARCが胎盤における合胞体栄養膜細胞への分化を抑制しているのではないかと考え、これを検証する。またSPARCによる細胞増殖・生存性制御や合胞体細胞機能制御の可能性、SPARC発現調節についても併せて検討する。本研究により胎盤形成の分子機構の一端を明らかにし、主要妊娠合併症である妊娠高血圧腎症や胎児発育不全の病態進展機序や予防・治療法開発の礎となるような成果を得たい。
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研究実績の概要 |
胎盤絨毛表面の合胞体栄養膜細胞(STB)の層は母体血液との境界をなし、広い表面積を活用し栄養素や酸素の取り込み、老廃物の排出を行い、hCGやエストロゲ ン、プロゲステロンなどの主たる産生の場となる。 STBは下層の細胞性栄養膜細胞(CTB)が細胞融合により多核化し分化することにより形成されるが、CTBの一部 は絨毛を出て絨毛外栄養膜細胞(EVT)として母体組織の脱落膜に遊走・侵入し、子宮らせん動脈の開口部を拡げ、母体血液の胎盤絨毛間腔への流入を促進する。 細胞外マトリックス(ECM) 蛋白のSPARCは、組織のリモデリングや細胞遊走・分化・増殖の制御に関わる分泌型のECM蛋白群である Matricellular蛋白に属し、最近になり妊娠初期胎盤に高発現し、EVTモデル細胞の遊走を促進することが報告された。しかし、SPARCのSTB形成における役割については不明である。今年度は昨年度に引き続き、CTBのモデル細胞株であるBeWo細胞を用い、SPARCのsiRNAによる一過性発現抑制が細胞融合(合胞体化)に与える影響を検討し、さらにそのメカニズムについて追求した。これまでにSPARC siRNA添加によりSPARC 蛋白発現量を低下させると、合胞体化率がcontrol siRNA添加に比べ増加し、この増加は 陽性反応対照であるforskolin(20μM, 72hr)添加に匹敵することが判明している。このメカニズムに関わる因子について網羅的に検討を進めた結果、CTB細胞融合(合胞体化)に関わる主要な因子である転写因子GCM1やsyncytin-1、syncytin-2の発現量は、SPARC 蛋白発現を低下させても有意な変化は生じなかった。諸因子のうち唯一発現量が変化(減少)したのはOVOL-1であった。以上の結果から、SPARCはCTBからSTBへの分化・合胞体化をオートクライン、パラクラインに抑制制御し、この経路の一部にOVOL-1が介在している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では作業仮説 「SPARCは、細胞性栄養膜細胞の合胞体栄養膜細胞への分化(細胞融合による合胞体化)を抑制する」を検証することを目的としているが、 今年度までに得られた研究成果はこれを裏付けるものであり、研究の進捗状態は良好である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は概ね順調に進行している。次年度は今年度得られた成果を踏まえ、SPARCの発現制御機構、他の役割などについて検討する予定である。モデル細胞の取り扱いには習熟しており、また各種アッセイや細胞生存性に関する細胞生物学的解析は、過去に研究室での実績があるので、これを最大限に活かしていく予定である。
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