研究課題/領域番号 |
22K09650
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
李 忠連 東京医科大学, 医学部, 准教授 (80319532)
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研究分担者 |
伊藤 正裕 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (00232471)
矢倉 富子 東京医科大学, 医学部, 講師 (20722581)
表原 拓也 東京医科大学, 医学部, 客員研究員 (40800545)
夏山 裕太郎 東京医科大学, 医学部, 助教 (60976926)
永堀 健太 東京医科大学, 医学部, 客員研究員 (50759561)
河田 晋一 東京医科大学, 医学部, 助教 (00527955)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | estrogen receptor alpha / subcellular localization / cancer stem cells / cell-size / mitochondria / metastasis / endometrium / uterine / Estrogen receptor alpha / Subcellular localization / Cancer stem cell / Cell-size / Mitochondria / Endometrium / Metastasis / Proliferation / stem-cell |
研究開始時の研究の概要 |
子宮内膜癌患者は我が国において増加し続けており、子宮内膜癌においてエストロゲン受容体α(ERα)の陽性率は約7割である。近年、がん組織の中存在するがん幹細胞が、がん治療抵抗性や再発の原因となることが示唆されている。ERαは、細胞膜、細胞質、および細胞の核に存在し、各々どの様にがん幹細胞サイズを制御するかについて未だ明らかになっていない。本研究では、『細胞内局在の異なるERαによるがん幹細胞サイズを制御する分子機序の解明』を目的とする。本課題の成果は、医療現場における有用な基礎知見を深め、診断・治療法の開発に寄与するものであると同時に、ERα局在化の制御を標的とした新概念の治療法を提唱する。
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研究実績の概要 |
本研究では子宮内膜癌細胞において、局在の異なるエストロゲン受容体α(estrogen receptor α, ERα)ががん幹細胞サイズを制御する分子機序の解析を目的としている。 研究代表者は、ERαを発現していない子宮内膜癌細胞株(Ishikawa株)にERα強制発現ベクターを恒久的に導入することによって、①細胞膜(細胞膜型ERα)、②細胞質(細胞質型ERα)、③細胞質と細胞核(細胞質核型ERα)、④細胞膜、細胞質、および細胞核(野生型ERα)に、それぞれERαを発現する細胞株を作成した。 当該年度は、細胞質核型ERαを持つ細胞株における、エストロゲン(E2)および、選択的エストロゲン受容体モジュレーターであるバゼドキシフェン(BDF)を添加し、細胞の浸潤能とミトコンドリア膜電位について解析を行った。E2添加によりミトコンドリア膜電位は上昇し、逆にBDF添加によりミトコンドリア膜電位が低下されることが検出された。一方、ERα-細胞において、E2やBDF添加によるこれらの変化は認められなかった。これらの変化伴い、細胞質核型ERα細胞では、E2添加により細胞の浸潤能は亢進し、逆にBDF添加により細胞の浸潤能が抑制されることが確認された。 また、前年度の結果より細胞増殖能が変化し細胞周期にも影響を与えていることから、細胞のサイズについても解析したところ、細胞質核型ERα細胞はERα-細胞に比べ細胞サイズが大きくなっている傾向にあった。これらのことから、細胞質核型ERαではERα-細胞と比較して、細胞の浸潤能が亢進し、細胞サイズが増加することが分かった。本研究では特に、細胞質と核内に局在するERαにおけるリン酸化mTORの発現量の増加が、細胞の浸潤能の亢進と細胞サイズの変化に関与するものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
病気による入院治療と療養のため、実験計画の遅延と変更を余儀なくされた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、細胞内局在の異なるERαによるがん幹細胞サイズを制御する分子機序を明らかにするため、細胞膜、細胞質、核内にERαを強制発現させた子宮内膜癌細胞株を用いて解析を行う。 2024年度(A)は前年度の実験結果に基づき、ERαがミトコンドリアの活性に及ぼす影響の評価を行う(李、矢倉): がん幹細胞サイズに変動がみられる実験条件下において、ERαの細胞内局在の変化が、ミトコンドリアに及ぼす影響を解析する。A1. 形態変化について、蛍光色素であるTMREで染色した細胞についてImage Cytometry(BD社)を使用することで、ミトコンドリアの融合/分裂率を計測し、解析を行う。A2. 機能的な変化は、TMREを用いて,細胞のミトコンドリア膜電位をFACS(BD社)で測定することによって評価する。B. さらにERαの制御を受けるミトコンドリア関連分子の量的な変動を検証するため、ミトコンドリアの融合/分裂(DRP1)等に関与する分子に着目し、Western Blot法によって評価する。 また(B)は、ERαを通じたミトコンドリアの活性変動、およびがん幹細胞サイズの変動に必要な遺伝子群の同定を行う(李、夏山、河田): 前年度の解析結果から、変化の認められた遺伝子群に対して、短干渉RNA(siRNA)によって標的遺伝子をサイレンシングする。次に、細胞サイズを中心に、ミトコンドリア膜電位と融合/分裂率を測定する。これによって、必要な遺伝子群を同定する。 さらに(C)は、細胞内局在の異なるERαが引き起こすがん幹細胞サイズ変化におけるin vivo評価を行う(李、夏山、矢倉)。前年度の解析結果から、変化の認められた細胞株のがん幹細胞をSCIDマウス子宮内に移植し、前年度と同様に投薬を行う。その後、腫瘍体積や生存率の検討、各臓器への影響を組織学や生化学的検査で解析する。
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