研究課題/領域番号 |
22K09651
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
田村 和広 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (70281409)
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研究分担者 |
草間 和哉 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (30579149)
小島 淳哉 東京医科大学, 医学部, 講師 (70617539)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 子宮内膜症 / 細胞老化 / セノリシス |
研究開始時の研究の概要 |
逆行性月経血に暴露され腹腔内に生存する老化細胞は、SASPを獲得して内膜症の発症と進展に関与する可能性がある。病巣に存在すると考えられる老化細胞の機能制御と除去(セノリシス)を可能にする化合物は、新規薬物治療に寄与すると考えられる。ヒト内膜症病変の老化細胞の存在と発現の解析を踏まえ、子宮間質と腺細胞の三次元共培養系において内膜症様変化を惹起する炎症性ストレス刺激下での老化細胞の挙動、シグナル伝達、及び出現老化細胞の正常内膜機能に及ぼす影響を調べ、さらに子宮内膜症モデルマウスでの病巣の老化細胞の生化学的挙動を解析して、内膜症様変化を抑制または老化細胞を死滅させる化合物を探索する。
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研究実績の概要 |
月経血中に含まれる炎症因子であるトロンビンとプロスタグランジンE2が、子宮内膜症モデル(卵巣摘出エストロゲン処置・レシピエントマウス)における内膜症様嚢胞の形成を促進することが観察された。ヒト子宮内膜細胞の3D培養では、分化刺激(ジブチリルcyclic-AMP)により脱落膜化や腺成熟のマーカー発現が上昇する一方で、老化細胞の出現を示す老化関連因子(LMNB1、p16、p21、p53)に顕著な変化は見られなかった。しかし、トロンビンおよびプロスタグランジンE2の処置により、老化関連因子の変動が検出された。この変動は、老化細胞除去薬(ケルセチンおよびダサチニブ)により抑制された。これにより、老化が誘導された状況下での老化細胞除去薬が、脱落膜化および腺上皮細胞の成熟を促進する効果が示された。 さらに、アクチビンA/CTGF経路と細胞老化の関連性を調査するために、ALK4/7受容体欠損マウスの子宮片を移植した同種間の子宮内膜片移植モデルを用いて検討を行った。ALK4/7の欠損により、移植片(病巣)のインターロイキン-6および結合組織成長因子(CTGF)の発現が亢進することが確認された。現在、アクチビンシグナルの炎症および線維化抑制における役割についてさらなる調査を進めている。 また、子宮内膜受容能に関連する脱落膜化への老化細胞除去薬の影響をマウス脱落膜化モデルで検討した結果、老化細胞除去薬により脱落膜の形成が促進された。内膜症患者の病変における老化関連因子のトランスクリプトーム解析も進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
薬物投与期間が長いマウス子宮内膜症モデルと人工的脱落膜化モデルを用いた実験が予想より難航した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、病変内のSASP形質獲得細胞が周辺細胞にいかなる影響を及ぼしているのかについて、時空空間的に組織切片を作製して、アクチビンシグナルも含めて細胞老化や増殖・線維化シグナルに注目して解析する。
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