研究課題/領域番号 |
22K09662
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 謙也 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80648311)
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研究分担者 |
森 泰昌 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (00296708)
河津 正人 千葉県がんセンター(研究所), がん治療開発グループ 細胞治療開発研究部, 部長 (20401078)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 腺様嚢胞癌 / 上皮 / 筋上皮 / シングルセル解析 / 高悪性転化 / PDS |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、申請者が樹立した動物実験モデル(PDXモデル:Patient-derived xenografts)と臨床コホートを、ゲノム学的、病理組織学的に詳細に解析し、腺様嚢胞癌の構成要素である上皮・筋上皮成分の起源・分化・生物学的特徴、高悪性化のメカニズムを解明することを目的としている。これにより、腺様嚢胞癌特有の浸潤様式の本態が明らかになり、個別化治療・創薬につながる。
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研究実績の概要 |
東大病院で1990年~2021年に加療した腺様嚢胞癌47例の臨床解析を行った。病理学的な二相性の評価にはckit CK7 p63を施行した。その結果、病理学的な二相性の消失は多変量解析にて全生存への独立した予後因子であった。とくに無遠隔再発率に関与しいた。この予後不良な『高悪性型』腺様嚢胞癌では、組織学的に二相性構造が消失し上皮成分主体となるという臨床解析結果をゲノム学的に解明するため、高悪性度/低悪性度腫瘍別の一細胞トランスクリプトーム解析を施行した。対象症例としては、高悪性化由来のPDX腫瘍、低悪性度由来の2症例を対象として、解析を行った。高悪性転化は比較的まれな事象であるため、PDX を用いた解析を行った。その結果、MYB・SOX10で特徴づけれられる腫瘍細胞集団のうちKRT7・KITにてクラスタリングされる上皮集団にはNOTCHが高発現し、TP63・ACTA2にてクラスタリングされる筋上皮集団にはNotchリガンドであるDLL、JAGが高発現していた。上皮・筋上皮の二相性が維持されている腫瘍ではNotchシグナルを介して、両者が直接相互作用し腫瘍増殖することが示唆された。一方、二相性が消失し高悪性化が生じた症例では、腺様嚢胞癌の特徴であるSOX10・MYBの高発現は維持されるも、筋上皮マーカー遺伝子の発現が消失し、さらにNOTCHの発現も消失し、シグナル非依存的な腫瘍増殖が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予定通り、高悪性モデル、低悪性モデルそれぞれのシングルセル解析を施行した。現在データ解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
病理組織学的解析では、1)二相性構造の程度は症例ごとに異なること、2)同一症例でも領域ごとに異なり、高悪性化に複雑な移行像が見られること、3)高悪性化にともない間質が減少し、腫瘍微小環境が異なることが明らかになった。このようなheterogeneityに富む腺様嚢胞癌の更なる解明のためには、in-situでの空間的情報が必須である。一細胞トランスクリプトーム解析に加え、空間トランスクリプトーム解析を行うことで、上皮・筋上皮の二相性構造や、腫瘍微小環境内の免疫細胞や間質での空間的情報を保持した遺伝子発現解析が可能となる。現在、先進ゲノム解析研究推進プラットフォームの支援をいただき、外科切除検体の空間トランスクリプトーム解析を施行している。
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