研究課題/領域番号 |
22K09667
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
松尾 聡 鳥取大学, 医学部, 教授 (40219390)
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研究分担者 |
中村 陽祐 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (70403417)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 前庭 / 呼吸 / 縫線核 / 上気道 / 呼吸筋 |
研究開始時の研究の概要 |
前庭は平衡制御には不可欠な器官であるが、その出力は呼吸、循環、消化といった自律神経機能にも影響を及ぼす。前庭刺激で起こる呼吸運動の反応は前庭呼吸反射と呼ばれるが、その意義や神経経路は不明である。今回の課題は、前庭入力が呼吸筋に及ぼす影響、体位変換時の呼吸筋や内喉頭筋の活動の変化、前庭呼吸反射の脳幹内神経経路の探索と呼吸性ニューロンとの連関、さらに覚醒時と睡眠時の前庭呼吸反射の応答の違いを検討することである。これらの課題に対する取り組みは、前庭呼吸反射の意義を明らかにするだけではなく、閉塞型睡眠時無呼吸症候群の病態と前庭障害症例の関連性を明らかにするために重要な情報を提供すると考えている。
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研究実績の概要 |
閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)と前庭障害の関係を明らかにするために研究を進めている。前年度と同じく、頭位を下降する体位変換(Head-down tilt, HDT)といったpitch面における体全体の回転刺激、頸部前屈ならびに頸部後屈刺激での呼吸運動、気道内圧、呼吸筋筋電図、血圧、自律神経の応答を検討している。 両側前庭破壊(VL)後のHDT負荷と頸部前屈負荷で気道抵抗が若干高くなる傾向がありさらに検討を続ける予定である。HDT負荷と比べ頸部前屈負荷の方が気道抵抗はより大きく上昇した。VL後のHDT負荷では前庭が正常である動物に比べて腎交感神経の活動が一過性に高い傾向にあり、その後両群の活動は同程度になった。VL後の頸部前屈負荷では腎交感神経の活動は高い傾向にあり、その傾向は持続することが分かった。前庭が正常である動物では頸部前屈を行っても腎交感神経の活動はVL群に比べて明らかに低かった。 動物の気道内圧については特に上気道の気道抵抗の詳細な評価が必要であるが、昨年度は方法が確立せず評価が不十分であった。これを解決するため、マスクに工夫を加えさらに気管切開を行うことで、上気道入口部と下気道上部の間で流量と抵抗を測定する動物モデルを作製した。このモデルによって動物の上気道の虚脱状態の定量評価が可能になった。このモデルを用い上気道筋電図と上気道抵抗を測定しながら、前庭障害例と正常例でHDT負荷と頸部前屈負荷を行うことで、前庭が上気道筋の緊張度に及ぼす影響について詳細な評価ができると考えており、現在実験を進めている。またラットでは麻酔下に前庭神経から入力のある呼吸関連ニューロンを縫線核で記録している。これらのうち一部の細胞は頸髄C4レベルから逆行性に応答した。詳細な投射部位は検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特に進展した点は、上気道の限局した気道抵抗の詳細な評価が可能になった点である。OSASと前庭障害の関係を評価するにあたって上気道、特に舌根部から声門にレベルの気道抵抗の評価が重要であるが、昨年度までのデータでは不十分であった。本年度はこれを解決するため、マスクに工夫を加えさらに気管切開を行うことで、上気道入口部と下気道上部の間で流量と抵抗を測定する動物モデルを作製した。このモデルによって動物の舌根部から声門にレベルに焦点を絞った気道抵抗の定量評価が可能になったと考える。現在、このモデルを併用して上気道の筋電図と気道抵抗を測定している。この新規の方法で得たデータと、従来の方法で得たデータを比較検討することで、本研究の課題の解決に近づくことができると考え上記区分とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、新規の上気道抵抗を測定する動物モデルを用い、動物の上気道レベルに応じた気道抵抗の定量評価を行い、前庭障害例と正常例でHDT負荷と頸部前屈負荷を行うことで、上気道筋の緊張度に前庭が及ぼす影響を明確にしたい。またラットにおいては呼吸関連ニューロンについて縫線核を中心に前庭からの入力様式と脊髄下行性の投射を検討していきたい。
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