研究課題/領域番号 |
22K09701
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
倉上 和也 山形大学, 医学部, 助教 (30571640)
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研究分担者 |
荒木 直人 山形大学, 医学部, 客員研究員 (10817373)
小泉 優 山形大学, 医学部, 医員 (80723585)
欠畑 誠治 山形大学, 医学部, 名誉教授 (90261619)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 声帯麻痺 / 反回神経 / ROCK阻害薬 / 神経再生チューブ / 反回神経再生 |
研究開始時の研究の概要 |
頭頸部手術において、反回神経を損傷もしくは切断せざるを得ない状況に遭遇することは、耳鼻咽喉科医であれば誰もが経験する。反回神経が障害されると嗄声や呼吸苦、嚥下障害といった様々な有害事象が生じる。反回神経の再生は以前から取り組まれている命題であり、近年様々な神経再生チューブが開発され、臨床応用されてきているが、未だ十分な効果が得られていないのが現状である。本研究では神経・シナプス再生作用および神経保護作用を有することが明らかとなってきているROCK阻害薬の反回神経再生について検討を行う。本研究において反回神経の再生効果が確認できた場合、反回神経障害に対する革新的な治療薬となることが期待できる。
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研究実績の概要 |
反回神経の再生は予てから取り組まれている命題であり、近年様々な神経再生チューブが開発され臨床応用されるなど研究が進められているが、未だ十分な効果が得られていないのが現状である。本研究では、神経・シナプス再生作用および神経保護作用を有することが明らかとなってきているROCK阻害薬による反回神経再生について解明することを目的として研究を行っている。 動物モデルを作成・評価するにあたり、硬性鏡や記録装置などの必要機材の選定を行うことは非常に重要であり、先行論文からの実験系や必要設備・物品の確認を行い、現在必要機材の購入を進めている。また学会に参加し発表するとともに、他施設における神経再生研究の動向についての調査も行っている。 一側性声帯麻痺は反回神経障害を含めた様々な原因で起こりうる病態であり、実臨床でかなりの頻度で遭遇する。本研究で対象とするような神経損傷によるものもある一方で、挿管性や特発性など神経切断などの直接傷害以外でも起こりうるものであり、自然経過の中で麻痺の改善が認められる症例も散見される。自然治癒過程を辿る症例の病態や経過を研究することも、反回神経の回復・再生について研究する上で非常に重要であると考えられる。昨年度に引き続き今年度も、実臨床における声帯麻痺の疫学、自然経過、自然治癒頻度、手術的介入頻度の調査研究を行っている。これらの研究結果を、令和3年に第67回日本音声言語医学会総会・学術講演会、令和4年に第35回日本喉頭科学会総会・学術講演会にて発表した。また令和5年7月に仙台で開催された第13回 East Asian Conference on Phonosurgeryにおいて、Treatment of unilateral vocal fold paralysis by laryngoplastyと題して発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
反回神経傷害動物実験モデルの作成および評価に際して必要となる、硬性鏡や記録装置、実験動物の固定器具等の選定に時間を要しており、予定していた研究スケジュールと比較するとやや進捗が遅れている状況である。物品の選定を進めながら、当科で行っている他研究の試料等を用いた予備実験を開始しており、具体的な条件設定に向け進捗している状態である。特に生理学的な評価を行う際に実験動物を失することなく評価を行うための固定方法、麻酔方法、器具の挿入・装着等に関して検討を重ねている。 また研究の背景となる実臨床でのデータ取集や評価・解析に関しては恙無く進捗している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
成体ラットの反回神経を両側ともに切断したモデルラットを作成する。処置後8週で評価を行う予定のため、声帯麻痺をきたし且つ長期生存が可能な安定したモデルであることを確認する。モデルラットの一側の切断神経を対照とし、対側の切断神経を用いて神経再生の検討を行う。 神経縫合、神経再生チューブ、ROCK阻害薬を組み合わせ、神経再生の程度を比較し、ROCK阻害薬の神経再生効果について検討する。ROCK阻害薬については、緑内障治療薬として使用されている10mMを基に、濃度を振って至適容量を求める。 神経再生効果の判定については、体重や活動性の変化、喉頭ファイバースコピーや筋電図を用いた生理学的評価、内喉頭筋や粘膜下固有層の 形態学的変化についての評価、シナプスマーカーであるCtBP2を用いたシナプス解析や抗ニューロフィラメント抗体などを用いた神経軸索の数量解析を免疫組織化学にて評価する予定である。
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