研究課題/領域番号 |
22K09712
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
|
研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
蝦原 康宏 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (50422291)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 早期舌癌 / 予後因子 / 簇出 / 舌癌 / 上皮間葉関連遺伝子 / リスク因子 |
研究開始時の研究の概要 |
(1)「簇出」という新たな病理組織概念とあわせて、腫瘍辺縁癌細胞での「pEMT関連遺伝子」の発現を免疫染色にて複数同時評価することで、これまで困難であったリンパ節転移予測因子を確立する (2) 既存の分子生物学的計量解析とは異なる視点から、癌悪性度解析の新たな知見を得る、を本研究の目標とする。 また、本研究にて判明したリスク因子を元に、実臨床での早期舌癌症例の各治療段階別リスク層別化を提唱したい。本研究が高精度な後発転移予測法を成し得れば、現状の「予防郭清」と後発転移出現時の「治療郭清」に加えて、第3の選択肢としての「原発巣切除後のリスク判定による追加2次的予防郭清」の提唱も考え得る。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、舌癌転移リスク因子として「簇出」という癌先進部の構造変化に注目し、さらに同部位の癌細胞の遺伝子発現を多重免疫染色にて解析すること で、臨床応用可能な精確な癌悪性度予測法を新たに確立することを最終目標としている。現在150症例に加えて年15例ほどの追加がなされており、症例の蓄積は予定通り進んでいる。ターゲットとして、(1)腫瘍辺縁癌細胞での「pEMT関連遺伝子」の発現を免疫染色にて複数同時評価すること (2) 既存の分子生物学的計量解析とは異なる視点から癌悪性度進展の知見を得ること、を狙いとしているが、本年は前研究から引き続き行ってきた(2) に関する、早期舌癌の中でもT2症例に絞った予後解析を学会発表することができた。当科治療例 cT2N0 61例でのretrospectiveな解析では、既存の治療前因子では有意差が得られなかったが、病理因子については全体ではpDOI、pN、ENE、pN0症例では神経浸潤、pN+症例では節外浸潤が予後因子であった。予後不良群を早期に発見し重点的に治療することが目標だが、現状では治療前にこの群を選別することは不可能であり、今後新規予測因子を確立することがやはり目標との結論となった。今後は本研究結果の論文化を進めているところである。また、病理学的因子の重要性は再認識されたが、新規マーカーを確立すべく、引き続き(1)の観点からの本研究もデータベースの更新解析が進行中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
症例データベースの構築がやや遅れてしまったため全体進行がやや遅れていたが、先のように2023年6月には医局員による学会発表とデータ収集・解析は進んだ。しかし、研究補助の若手医師が異動となり、新たに医局員の研究支援も得られるように模索中である。働き方改革による労働時間短縮の必要性から臨床業務との兼ね合いによる時間的制約が生じ、解決法を検討中であるが、実験助手の雇用時間延長などで対応を考えている。合わせて、最新データベースの構築、分子生物・免疫学的実験を進めていく。
|
今後の研究の推進方策 |
簇出・pEMT関連遺伝子の解析: 簇出の評価基準は大腸癌ガイドラインに基づき、サイトケラチン 免疫染色(AE1/AE3Ab,MCA1907,ABD) を使用する。簇出を検出した腫瘍先進部においてlamininγ 2抗体(sc25341, Santa Cruz)、Anti-Integrinα5抗体(EPR7854,Abcam), Anti-Vime ntin 抗体 (ab24525, Abcam), Anti-MMP10抗体(ab59437,Abcam)等を用いた免疫染色によるpEMT関連遺伝子発現の評価を行う予定である。 次に、多重免疫染色による複合解析として、 Mantra 組織切片定量解析ワークステーション(AKOYA Bio, PerkinElmer Japan169;)機器を用い、 The Opal 7-Color Manual IHC Kitsを使用する蛍光免疫染色法により、複数遺伝子の発現レベルを同時に1切片での評価を予定する。発現スコアリングから細胞のphenotypingを行い臨床情報と合わせ、新たな悪性度評価の基準を導く。
|