研究課題/領域番号 |
22K09715
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
宇田川 友克 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60328292)
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研究分担者 |
土橋 映仁 公益財団法人がん研究会, がん研究所 分子標的病理プロジェクト, 研究員 (40772249)
中澤 宝 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (40892245)
辰巳 徳史 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60514528)
高橋 恵里沙 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (20875546)
近藤 悠子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (10869986)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 内耳基底部 / 難聴 / 増殖再生 / 内耳蝸牛基底部 / 内耳再生 |
研究開始時の研究の概要 |
内耳蝸牛は外界からの音を感知し、電気信号に換えて脳に刺激を伝える。蝸牛は加齢に伴い、高い音を感知する基底部から難治な障害が発生する。この不可逆的な聴覚障害に対する治療戦略の確立は超高齢化社会を迎えた我が国にとって近々の課題である。加齢による難聴の主な要因は音を電気信号に変換するシステムに重要な役割を演じている蝸牛有毛細胞の変性消失である。本研究では、蝸牛基底部における有毛細胞などの再生メカニズムの解明と治療戦略の確立を目指す。初期の計画として、動物実験やバイオインフォマティクス解析などを行い、有毛細胞の再生母地として知られている残存支持細胞の再生能を呼び起こす分子メカニズムを明らかにする。
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研究実績の概要 |
近年、外界からの音を電気信号に変換する蝸牛有毛細胞のmechanoelectrical transduction (MET)に必須の内リンパ電位を産生する血管条において、神経堤から遊走・分化したメラノサイトが細胞増殖していることが報告された(Renauld et al., 2022)。血管条メラノサイトは内向き整流性カリウムチャネルKir4.1を介して内リンパの高電位を産生することが知られている。 昨年度は難聴原因遺伝子Pax3の遺伝子変異マウスPax3-Creを用いて、Pax3遺伝子変異によってノックアウト内リンパの高電位を産生する血管条のメラノサイトは顕著に減少することを明らかにした。また、この血管条のメラノサイト減少はBase-to-Apex gradientが認められた。これらの結果から一つの仮説として、「Pax3遺伝子は内耳蝸牛基底部の自発的な細胞増殖にも関与している」可能性があると考えられた。 しかしながら、解析に用いたPax3-CreマウスはPax3 exon1にCre遺伝子がノックインしたことで遺伝子変異が生じているが、Pax3の機能が消失しているかは十分に理解されていなかった。Pax3がノックアウトされているかどうかは今後の「内耳蝸牛基底部の自発的な細胞増殖」実験において重要であり、今年度は胎生11.5日のマウス切片を用いて抗Pax3抗体免疫染色で検証した。結果、Pax3-Creマウスホモ接合変異ではPax3の発現を完全に失っていることが明らかとなった。 これらの研究成果をまとめて論文投稿した。さらに、査読者の指摘点に対する追加実験等をおこない、国際科学雑誌 Scientific Reports に2024年1月掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
内耳蝸牛基底部の増殖再生に関与する候補分子の絞り込みに時間がかかったため。
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今後の研究の推進方策 |
絞り込んだ内耳蝸牛基底部の増殖再生に関与する候補分子の挙動に注目して、動物実験等をおこない、蝸牛基底部の変性メカニズムの解明と治療戦略の確立を目指す。
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