研究課題/領域番号 |
22K09718
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
塩谷 彰浩 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 耳鼻咽喉科学, 教授 (80215946)
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研究分担者 |
宇野 光祐 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 耳鼻咽喉科, 講師 (20464828)
荒木 幸仁 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 耳鼻咽喉科学, 教授 (70317220)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 頭頸部癌 / 腫瘍溶解ウイルス療法 / センダイウイルス / BioKnife / uPA/PAR / PAI-1 / PAI-039 / 腫瘍溶解性センダイウイルス / 腫瘍免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
頭頸部癌における、腫瘍溶解性センダイウイルス(BioKnife)を用いたウイルス療法の臨床応用に向けた研究を行う。申請者らは頭頸部癌原発巣やリンパ節に対する抗腫瘍効果、疑似遠隔転移巣に対する細胞障害性T細胞活性化を報告してきた。本研究ではBioknifeによる治療機序、腫瘍免疫機構を深く解明し臨床応用へ向けた検討を行う。 1) 免疫正常マウスを用いた発癌モデルの作成 2) Bioknifeの投与部位以遠の癌病巣(転移巣等)におけるBioknifeの移行性、腫瘍免疫の検討 3) PAI-1阻害剤による癌細胞のuPA活性と、Bioknifeの治療効果の検討 4) 既存治療とBioknifeの併用療法の検討
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研究実績の概要 |
実験計画に基づき、申請者らは「免疫正常マウスを用いた頭頸部癌化学発癌モデルの作成」を実施した。所定の4-nitroquinorine 1-oxideを投与し16週間経過したマウスについて発癌を確認したところ、食道への発癌はほぼ100%得られた一方で舌への発癌はおよそ20%程度であった(先行研究では舌・食道ともに100%)。また、腫瘍細胞数や発癌個数などの均一なモデルを作成することが難しく、腫瘍溶解センダイウイルスを用いた殺細胞効果の検討をin vivoでは行っていない。再現性のあるモデルを作るための検討を続けていく。「uPA発現に対するアプローチ」においては、PAI-1阻害剤としてPAI-039を選択した。ヒトおよびマウスの扁平上皮癌細胞株を培地に添加し培養し、各種細胞株のIC50を算出した。IC50に基づき、PAI-039を0-50uMに10uM刻みに調整した培地で培養しuPA活性の評価を行った。PAI-039の濃度依存的にuPA活性の上昇を得た。また、PAI-039とBioKnifeを併用し、殺細胞効果の観察を行った。元々高いuPA活性を持ちBioKnifeが高い殺細胞効果を発揮するHSC-3-M3などの細胞株、uPA活性が低くBioKnifeが効果を発揮しにくいFaDuやSCC7などの細胞株ともにPAI-039の濃度依存的に殺細胞効果が上昇することが観察された。一方で、特にFaDuやSCC7などの細胞株については殺細胞効果が上昇した一方、その上昇幅も限定的でありBioKnifeの複数回投与、投与後の評価時期の設定について検討を要する。「化学療法、放射線療法、免疫療法との併用」「BioKnifeの安全性の検討」についてはin vivoを想定しており、前述の通りモデルマウスの検討が済んでから実施予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
「uPAに対するアプローチ」において、各種腫瘍細胞株に対するPAI-039投与によりuPA活性が上昇しBioKnifeの殺細胞効果が上昇することは明らかになった。一方で、腫瘍免疫の惹起・重複する食道癌や頸部リンパ節転移への効果・その他治療法との相乗効果の検討を予定していたが、これらには舌への安定的な発癌が必要である。概要に示した通り、先行研究通りのプロトコルで発癌を試みたものの、舌への発癌は20%程度であった。そのため、化学発癌モデルマウスを用いたin vivoの実験系については遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きBioKnifeの殺細胞効果について、「uPAに対するアプローチ」を継続する。BioKnifeの投与回数や投与時期の検討を引き続き行い、最も効果のある条件を模索する。多くの頭頸部扁平上皮癌は口腔・咽頭・喉頭・鼻副鼻腔など、内視鏡でのアプローチが容易で実臨床の場でも複数回投与については問題なく行えるためである。化学発癌モデルマウスについては、発癌条件・飼育環境等を変更することにより安定的な発癌を目指す。
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