研究課題/領域番号 |
22K09728
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
兵頭 政光 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (00181123)
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研究分担者 |
倉本 尚美 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 准教授 (20852479)
鈴木 健嗣 筑波大学, システム情報系, 教授 (30350474)
長尾 明日香 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (30646021)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 嚥下音 / 嚥下姿勢 / 嚥下内視鏡検査 / 嚥下機能評価 / 食事モニタリング / 誤嚥 / 食形態の調整 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では非侵襲下に食事中の嚥下音および嚥下姿勢を持続モニターし、食事状況や誤嚥のリスクを客観的に判定し、安全に経口摂取を行うための食形態の選択や嚥下指導につなげる評価システムを確立する。 接触型マイクロフォンおよび姿勢ジャイロセンサーを内蔵した頸部装着型センサーを用いて、非侵襲化に食事中の嚥下音および嚥下姿勢をモニターする。そのデータは、ワイヤレスでスマートフォンを介して記録・送信・解析する。その結果を基に摂食・嚥下状況や誤嚥のリスクを客観的に判定し、食事摂取の可否の判断や安全に摂取できる食形態の選択につなげる基準を策定する。
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研究実績の概要 |
高知大学医学部附属病院入院中で、軽度から中等度の嚥下障害を有する嚥下障害患者のうち、認知機能や意識レベルの低下がない15例を対象に、頸部装着型嚥下モニターを用いて嚥下機能評価を行った。対象患者の年齢は55~86歳(平均76.8歳)、嚥下障害の原疾患は脳血管障害7例、食道癌術後3例、およびCOVID-19感染後後遺症、脊椎炎、腸間膜虚血、結腸癌術後、口蓋癌が各1例であった。全例で坐位での食事の自己摂取が可能であった。 方法:以下に示すように嚥下機能および食事状況を評価した。 1)摂食・嚥下の状況は藤島の摂食・嚥下グレードにより評価した。 2)嚥下内視鏡検査:鼻咽腔内視鏡により、嚥下器官である咽頭・喉頭の形態や運動性、中・下咽頭の唾液貯留、声門閉鎖反射や咳反射の惹起性を確認した。次いで1回3ccの冷水を指示嚥下させて、嚥下反射の惹起性と嚥下後の咽頭クリアランスを観察した。これらの所見を兵頭らの嚥下内視鏡検査スコア評価法にしたがってスコア評価した。 3)頸部装着型嚥下モニター装置(GOKURI)を装着した状態で、昼食(お茶、五分粥、みそ汁にはそれぞれとろみ剤を添加)を摂取させて総食事時間、総嚥下回数、食事中の誤嚥(むせ)回数を計測した。 結果:対象患者の摂食・嚥下グレードは、6(3食経口摂取が可能だが代替栄養が必要)が2例、7(嚥下食で3食とも経口摂取可能)が13例であった。嚥下内視鏡検査は9例に実施し、合計スコアは3~7点で軽度から中等度の嚥下障害であった。頸部装着型嚥下モニターによる計測で、総食事時間が平均12.6分、総嚥下回数が56.6回、食事中の誤嚥回数が1.25回であった。嚥下内視鏡検査スコアと総嚥下時間や誤嚥回数との相関性はなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
頸部装着型の嚥下モニター装置により、嚥下音による食事中の嚥下状況及び誤嚥の頻度、および嚥下姿勢を計測する手法は実現できている。その方法に従って嚥下障害患者の食事中のデータを収集、記録、解析しており、概ね順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
嚥下音による食事中の嚥下状況のモニタリングにより、嚥下状況を定量的に評価することで嚥下機能を評価する基準の作成を進めている。特に食形態の違いによる誤嚥の頻度や単位時間あたりの嚥下回数などの違いについて検討を行う。そして、その結果により安全に食事を行うために、食形態や食事量を推奨するための基準を今後作成する予定である。
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