研究課題/領域番号 |
22K09733
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
富里 周太 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (00924987)
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研究分担者 |
甲能 武幸 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (90573410)
和佐野 浩一郎 東海大学, 医学部, 准教授 (40528866)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 吃音 / 早口言語症 / fMRI / 吃音症 / クラタリング |
研究開始時の研究の概要 |
吃音とはいわゆる「どもり」のことであり、成人において0.7~1%と高い有病率の疾患である。コミュニケーションの障害からQOLの低下を来たすことがあるが、その疾患メカニズムは解明されておらず、有効な治療法は確立されていない。 その一因として、「吃音」を主訴とする患者の中に早口言語症(クラタリング)という早い発話速度を特徴とする疾患が混在し、研究対象が複雑化していることが挙げられる。本研究では、本邦で未確立の日本語話者に対するクラタリング診断法を確立し、fMRIによる評価を活用し吃音とクラタリングの病態の違いを検証することを目的とする。
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研究実績の概要 |
早口言語症は吃音様の症状を呈するが、早口言語症特有の症状(高い構音速度や言葉の折り畳み)などは自覚がないため、吃音様症状のみを自覚し来院する。そのため、言語の非流暢性を主訴に来院する患者は吃音と早口言語症が混在すると考えられており、従来これらの鑑別を行わず臨床介入や基礎的な研究が行われてきた背景がある。吃音と早口言語症の鑑別診断の確立および鑑別した上での脳機能解析をすることで、より精度の高い病態解明を行うことが本研究の目的である。 先行研究として、他言語において非流暢性比率(Normal disfluencyとStuttering-like disfluencyの比率)によって鑑別する方法が提示されている。しかしながらIimuraらの報告によると、日本語話者においてこの鑑別法方法を用いると早口言語症の過剰診断になる可能性が指摘されている。そのため、我々は非流暢性比率のみではなく、平均構音速度を組み合わせることでより精度の高い診断方法を提示した。自由会話に近いモノローグの吃音検査において「非流暢性比率が3以上、平均構音速度が9以上」を早口言語症とすることで、感度70%、特異度100%の鑑別診断が可能になる。この研究成果は日本音声言語医学会学術総会において報告した。現在、患者数を増やしたうえで、論文作成を行っている。 また、並行して脳機能解析(fMRI、DTI)のデータを収集している。2023/4時点で17名のデータが得られており、順調な経過といえるだろう。上述した鑑別方法を用いることで、それぞれ群分けしたうえでの解析を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
吃音と早口言語症の鑑別方法においてはすでに学会報告を行った。多少の修正は必要だが、現在論文作成を行っている。 また並行して脳機能解析(fMRI、DTI)のデータ収集を行っており、言語の非流暢性を主訴に来院した患者から17名のデータをいただいており、この数字はほぼ目標通りである。
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今後の研究の推進方策 |
日本語話者における吃音と早口言語症の鑑別方法を論文という形で公表し、確立した方法としたい。また、この鑑別法法を適応したうえで脳機能解析を行っていく。脳機能解析を行う上で、コントロール群が必要になる見込みが生じており、現在修正の倫理申請を終えたところである。コントロール群の募集については公募を開始し、随時データを収集していく。
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