研究課題/領域番号 |
22K09742
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
石神 瑛亮 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (90835571)
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研究分担者 |
小林 正佳 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (80343218)
西田 幸平 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (10456733)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 嗅覚 / 再生医療 |
研究開始時の研究の概要 |
今回の研究は、マウスに嗅神経切断手術を施行して外傷性嗅覚障害モデル動物を作製し、高用量IgGを腹腔内注射した後、嗅神経切断創部の局所炎症が抑制されて、再生した嗅神経の嗅球糸球体再支配が促進されるかどうかを、コントロールマウスと比較して組織学的、電気生理学的、行動実験学的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度は嗅神経切断時に高用量IgGが嗅神経再生に対して及ぼす効果を組織学的、行動学的に検討した。 まず、組織学的に嗅神経を容易に視覚的に確認可能なOMP-tau-lacZ マウスを全身麻酔下で前頭開頭し、ステンレスカッターで一側の嗅神経を切断した。なお、対側はコントロールとして神経切断を行わずとした。閉頭後、動物を覚醒させ、手術直後にIgGまたは生理食塩水を腹腔内注射し、低用量、高用量の2種類のIgG投与群とコントロールとしての生理食塩水投与群の計3群を設けた。術後5日目、14日目、42日目、70日目に、それぞれマウスを固定、脱灰し、組織切片を染色してCCD カメラでデジタル画像化し、嗅神経の再生、グリア瘢痕形成、炎症マーカーとしてマクロファージの局所浸潤を定量測定した。なお、嗅神経はX-Gal 染色で嗅神経と嗅球の糸球体を可視化した。グリア瘢痕はニュートラルレッド染色で確認した。活性化星状膠細胞は抗GFAP 抗体の、マクロファージは抗CD68 抗体の免疫染色で確認した。この結果、高用量IgG投与群では用量依存性にグリア瘢痕増生とマクロファージ局所浸潤の抑制が有意に生じ、嗅神経の嗅球再支配が有意に促進した。 次に、行動学的実験による検証は以下のように施行した。まず、マウスに0.01%ナラマイシン(シクロヘキサミド)水溶液を用いて条件付けの嫌悪学習を施行した。 次に、嫌悪学習に成功したマウスに対して、嗅神経切断と高用量IgG投与を行い、術後経日的にナラマイシンに対する忌避行動の程度を確認し、嗅覚機能の回復の有無を確認した。その結果、生理食塩水投与のコントロール群は嗅覚機能回復が不十分であったのに対して、高用量IgG投与群は有意に嗅覚機能の回復が認められた。 以上から、高用量IgGが嗅神経切断後の嗅神経再生を促進し、嗅覚機能も回復させることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りの研究が遂行できているため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、高用量IgG投与により嗅覚機能の回復程度が容量依存性にどのような結果を示すかを行動学的実験で詳細に確認する。
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