研究課題/領域番号 |
22K09748
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 天理大学 (2023) 岩手医科大学 (2022) |
研究代表者 |
平海 晴一 天理大学, 医療学部, 研究員 (10374167)
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研究分担者 |
金城 伸祐 岩手医科大学, 医学部, 助教 (30849245)
山本 典生 京都大学, 医学研究科, 准教授 (70378644)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | off-frequency / ノイズオージオメトリ / 剣道難聴 / シスプラチン / 聴覚求心路障害 / off-frequencyノイズオージオメトリ / 内有毛細胞障害 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、様々な聴覚求心路障害では純音聴力閾値が正常であるにもかかわらず、特に騒音下での語音聴取能が低下することが報告されている。しかしながら、このような聴覚求心路障害を診断する検査法は確立されていない。われわれは、狭帯域雑音下に純音聴力検査を行い(off-frequencyノイズオージオメトリ)、動物実験での聴覚求心路障害と同様の結果を得た。 本研究では、off-frequencyノイズオージオメトリの異常をきたす病態を解明するとともに、この検査法によってヒトにおける聴覚求心路障害の診断を試みる。さらに、聴性誘発反応と組み合わせることで、ヒトにおける聴覚求心路障害の他覚的検査法を確立する。
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研究実績の概要 |
2022年度までの成果をまとめ、論文として作成投稿した。シスプラチン投与患者では高音域で感音難聴をきたしたが、低音の閾値は変化しなかった。1000 Hzバンドパスノイズを呈示した状態では125-250 Hzの閾値が上昇する患者の割合が有意に高くなった。この内容が6月にPlosOneに採択された。2023年度は頻繁に歯科用手術機器を使用する歯科医師がhidden hearing lossが生じている可能性があるため被検者としてoff-frequencyノイズオージオメトリを実施する計画であったが、2023年7月に代表研究者が転勤となり、十分な数で均一の歯科医師を募集することが困難な環境になった。歯科医師以外に騒音暴露を受ける手段を検討した。現在研究を行っている天理大学では全国レベルの剣道部があり、剣道経験者も歯科医師と同様に騒音暴露にさらされること、30歳ごろから感音難聴が生じること(剣道難聴)から、30歳までの成人の剣道部員がhidden hearing lossを呈している可能性が高いと判断した。、30歳までの成人の剣道部員を被検者とするべく研究計画を変更、天理大学および計測を行う天理よろづ相談所病院の倫理委員会から承認を得るとともに、天理大学剣道部からも研究参加の内諾を得た。2024年度は4月から実際の計測を開始できる準備が整っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2023年度は研究者の転勤により、予定していた研究を遂行することが出来なかった。特に予定していた被検者を募集できない点が大きく問題であり、多くの先生方から学会等で被検者の選定や計測方法、音加工の工夫などについてアドバイスをいただき、最終的に剣道難聴選手は歯科医師以上にhidden hearing lossをきたしている可能性が高いとの結論にいたった。歯科医師がどの程度の割合で感音難聴をきたすかは確定していないのに対し、剣道経験者は30歳以降で感音難聴をきたし、その原因が音響暴露であることが報告されている。そのため研究自体は遅れているが、従来より更に適切な対象群を設定できたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
対象者は天理大学で募集する。剣道経験者は剣道部で(剣道部監督の了承ずみ)現在に至るまで剣道経験が5年以上のものとする。剣道難聴の文献では剣道経験が5年以上のものを対象としていたため。また30歳以上では感音難聴を発症する率が高くなるため除外する。 天理よろづ相談所病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科外来の聴力検査機器を用い、両側の純音聴力検査、歪成分耳音響放射検査を行う。また、聞き取りに関するアンケートを実施する。 そのまま聴力検査室でoff-frequency noise audiometry を行う。この手技では通常の純音聴力検査と同様にヘッドホンを用いて純音を呈示して聴取閾値を測定するが、その際に検耳に純音と同時に1000 Hzバンドパスノイズを呈示した状態で実施する。現在の聴力検査機器では検査側に1000 Hzバンドパスノイズを呈示できないため、外部装置を用いてノイズを作成し、外部入力チャンネルから入力する。 通常の聴覚機能検査が正常であることが確認できたもので、純音聴力検査とノイズオージオメトリにおいて、通常バンドパスノイズの影響を受けない周波数(125-250 Hz, 6000-8000 Hz)において10 dB以上の閾値上昇を示した研究対象者の割合を、剣道経験者と非経験者で比較する。 上記の内容で、倫理委員会の承認を得ている。また1000 Hzバンドパスノイズを呈示する外部装置も準備済みである。
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