研究課題/領域番号 |
22K09756
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 京都先端科学大学 |
研究代表者 |
楯谷 智子 京都先端科学大学, 健康医療学部, 教授 (10512311)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 有毛細胞 / 蝸牛 / 発生・分化 / Atoh1 / 転写 / 内耳 / 細胞分化 |
研究開始時の研究の概要 |
難聴の多くは聴覚の感覚細胞である有毛細胞の再生能力不足に起因しており、有毛細胞再生が可能となる新規治療法の開発が待たれている。転写因子Atoh1は有毛細胞分化を決定づけるマスター遺伝子であり、発生段階では単独で有毛細胞分化を誘導することが可能であるが、他臓器でも機能し内耳特異的Atoh1発現促進機構は未だ不明である。これを明らかにすることは、内耳特異的に作用する有毛細胞再生法の開発につながる可能性がある。本研究では内耳特異的Atoh1転写促進配列を同定し、それに相互作用する未知の転写因子やエンハンサーを見い出し、内耳特異的なAtoh1転写促進機構を解明することを目的としている。
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研究実績の概要 |
難聴は、すべての年齢層において最も頻繁に見られる感覚障害である。難聴の多くは聴覚の感覚細胞である有毛細胞の再生能力不足に起因しており、有毛細胞再生が可能となる新規治療法の開発が待たれている。転写因子Atoh1は有毛細胞分化を決定づけるマスター遺伝子であり、発生段階においては単独で有毛細胞分化を誘導することが可能である。そのため、有毛細胞再生目的でAtoh1を発現させる外来遺伝子の導入が多く試みられてきたが、未だ効果は限定的とされている。Atoh1は小脳の顆粒細胞など他臓器の細胞分化も司り、内耳特異的なAtoh1発現促進機構は未だ不明である。これを明らかにすることは、内耳特異的に内在性Atoh1発現を促進して有毛細胞再生を誘導できるより効果的な方法の開発につながる可能性がある。 我々の予備的研究の結果より、小脳顆粒細胞の発生に必要な配列の候補(領域X)、および内耳有毛細胞の発生に必要な配列の候補(領域Y)のそれぞれが、Atoh1プロモーターの特定の領域に含まれることが示唆された。本研究では領域Yのなかで内耳特異的Atoh1転写促進配列を同定し、それに相互作用する未知の転写因子やエンハンサーを見い出すことによって、内耳特異的なAtoh1転写促進機構を解明することを目的としている。 2022年度は、まず内耳特異的Atoh1転写促進配列の同定を同定するため、領域Xは含まず、領域Yを含み、予備実験で欠失させたよりは狭いゲノム領域を欠失させたマウスをゲノム編集法で作製した。予想では小脳に異常はなく、内耳にのみ異常があるマウスが得られるはずであったが、予想に反してそのホモ欠失マウスは小脳だけでなく内耳も正常であった。つまり、領域Y以外にも内耳発生に必要な領域があり、その両者がいずれも欠失してはじめて異常が出ることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、内耳特異的Atoh1転写促進配列を同定するため、内耳特異的配列候補領域を含み、予備実験で欠失させたよりは狭いゲノム領域を欠失させたマウスをゲノム編集法で作製し、その表現型につき解析した。ここまでの進捗はほぼ予定通りであったが、実験結果が予想と異なっており追加実験が必要になる見込みであるため、「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の実験結果より、内耳特異的配列候補としていた領域Y以外にも内耳発生に必要な領域があり、その両者がいずれも欠失してはじめて異常が出ることが示唆された。2023年度はそれらの領域を同定することから着手する予定である。
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