研究課題/領域番号 |
22K09762
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
栗林 寛 東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (00734211)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | NAD / 網膜発生 / バイオセンサー / 網膜 |
研究開始時の研究の概要 |
NADは細胞内局在性の異なる3種類の合成酵素NMNAT1-3によって、細胞核、細胞質、ミトコンドリアにおいて独立して合成されるが、この生物学的意義はほとんど分かっていない。また、NMNAT1は網膜視細胞変性疾患遺伝子である事が同定され、網膜恒常性維持におけるNADの重要性が注目されている一方、この変異が網膜視細胞特異的な変性をもたらす機構はよく分かっていない。これらの疑問に対して、申請者は細胞内分画ごとのNAD動態を捉える事が重要であると考え、細胞内で時空間的分解能を保持したままNAD動態を計測できるNADバイオセンサーを用い、網膜恒常性維持に対するNADの新たな役割を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、細胞核、細胞質、ミトコンドリアへの特異的局在性を示す3種類のNADバイオセンサープラスミドを用い、網膜発生・維持・疾患時におけるNAD代謝の変化を細胞内で時空間的に捉え、網膜恒常性維持におけるNADの新たな役割を解明することにある。申請者はCambronne et al., Science, 2016で開発されたNADバイオセンサーをCAGプロモーター下へ挿入したNADバイオセンサープラスミドを作製し、マウス網膜での強発現を可能にするシステムを構築した。胎生17.5日目マウス網膜エクスプラントを用い、細胞核局在性NAD合成酵素Nmnat1に対するshRNAとNADバイオセンサープラスミドを共導入し、細胞内の各分画におけるNAD合成に対する影響をフローサイトメトリーおよびライブイメージングにより検討した。その結果、Nmnat1発現抑制下のマウス網膜エクスプラントにおいて細胞核内でのNADの低下を認めた。一方、細胞質とミトコンドリアにおけるNADレベルの変化は認められなかった。これまでに細胞核と細胞質のNAD代謝が競合的に制御されている事を示す報告や、逆に細胞核と細胞質でNADが共有されている事を示唆する報告など、文脈依存的なNAD代謝の制御機構の存在が示唆されていた。本研究の結果から、発生期マウス網膜においては、細胞核と細胞質のNAD代謝は独立性を保って制御を受けている可能性が示唆された。NADやNAD代謝中間体のトランスポーターは複数同定されているが、細胞内コンパートメント間における、これら分子の輸送に関する知見は不十分であり、今後の課題であると考える。
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