研究課題/領域番号 |
22K09766
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
松宮 亘 神戸大学, 医学研究科, 助教 (30707120)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 脈絡膜 / 血管新生 / Hippo経路 / 炎症 / YAP / 免疫 / マクロファージ |
研究開始時の研究の概要 |
Hippo経路における様々な遺伝子発現を調整するYAP (yes-associated protein)/TAZ (transcriptional coactivator with PDZ-binding motif)は「細胞の数」を調節し組織のサイズを決定しており、加齢黄斑変性の病態の素地である脈絡膜血管において発現が認められている。以前の我々の研究において、加齢黄斑変性の動物モデルによりYAP/TAZと炎症細胞(マクロファージ)の関連が示めされたため、本研究においては脈絡膜の炎症と免疫におけるYAP/TAZの役割を明らかにすることを目的としている。
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研究実績の概要 |
研究者らが行っている脈絡膜血管新生におけるHippo経路の関与の解明の研究において、すでにヒト脈絡膜血管内皮細胞(HCEC)においてYAP/pYAPが核内/細胞質にそれぞれ局在することを報告した。さらにYAP阻害剤にであるベルテポルフィン(VP)添加によって特に3μMでpYAPの細胞質内発現は低下した。またレーザー誘発脈絡膜新生血管(CNV)マウスモデルを用いた実験ではVP治療群によりCNVの体積は偽薬群と比べ有意に減少していたことを報告している。 本年度はHCECにおいてVP負荷がYAP 経路を介して細胞増殖を調整していることを証明するため一定のVP濃度下で1)MTTアッセイ2)遊走アッセイを行った。結果として、MTTアッセイを用いて、VPの濃度を0μM,1.0μM、3.0μM、5.0μM、10.0μMと割り振って細胞の生存率を調べたところ、結果としては濃度依存性に細胞生存率が低下を認めた(P<0.01)。一方、遊走アッセイ(Wond Healingアッセイ)ではVPの濃度を0μM,1.0μM、3.0μM、5.0μMと割り振って細胞の遊走能を確認したところ、VP濃度で細胞の遊走に有意な差は認めなかった(P=0.58 )。以上によりYAP阻害剤であるVPの投与が脈絡膜血管新生の抑制を示唆する結果が得られたことから、脈絡膜血管新生にHippo経路が関与していると推察される。上記の結果を、2023年4月に開催された第127回日本眼科学会総会にて発表報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脈絡膜血管新生におけるHippo経路が関与についての研究は上記のように結果が得られ報告を行ったが、脈絡膜の炎症と免疫におけるYAP/TAZの役割を明らかにするための研究についてはCx3cr1-GFPマウスの準備に時間を要したためやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定とおりCx3cr1-GFPマウスへの脈絡膜へのレーザー照射(波長532nm、出力200mW、照射時間100ms、スポットサイズ100μm)を行いレーザー誘発脈絡膜新生血管を作成し、YAP阻害薬(ベルテポルフィン)及び偽薬をマウスの腹腔内に投与し、抗YAP抗体もしくは抗pYAP抗体によりYAPの発現とCx3cr1にGFPラベルされたマイクログリア及びマクロファージとの相関を評価を行う。マウスの準備に時間を要する場合はC57BL/6Jマウスを用いて、同様の実験を行い抗Iba1抗体及び抗CD68抗体を用いてマイクログリア及びマクロファージの発現を確認する。もしくは他の実験系モデル(実験的自己免疫性ぶどう膜炎モデル)を用いて評価を行う予定である。
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