研究課題/領域番号 |
22K09806
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
布施 昇男 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 教授 (10302134)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 緑内障 / 多遺伝子リスクスコア / ゲノムワイド相関解析 / 一塩基多型 / オミックス解析 / 眼圧 / 視神経乳頭 / GWAS |
研究開始時の研究の概要 |
失明原因の第一位である緑内障は、環境因子とともに多数の遺伝子バリアントが作用することで引き起こされ、一般的な緑内障のリスク判定は、依然として難しい状況である。 本研究課題においては、コホート参加者の眼圧をパラメータとするGWASからのSNP情報、メタボローム情報(NMR法)、眼科生理学的検査(光干渉断層計:OCTで撮影された網膜断層画像)から得られる情報を加味した多遺伝子リスクスコア(polygenic risk score:PRS)評価法の構築を目的とする。加えて、緑内障症例の全エクソン解析から、緑内障の原因候補遺伝子の抽出を行い、PRSに付加できるか検討を行う。
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研究実績の概要 |
近年、遺伝子多型のゲノムデータベースは急速に充実、インフラストラクチャーが整ってきている。失明原因の第一位である緑内障の中で、環境因子とともに多数の遺伝子バリアントが作用することで引き起こされる一般的な緑内障のリスク判定は、依然として難しい状況である。本研究課題においては、SNP情報に加え、メタボローム情報、眼科生理学的検査(眼圧、光干渉断層計(OCT)で撮影された網膜断層画像)から得られる情報を加味した多遺伝子リスクスコア(polygenic risk score:PRS)評価法の構築を目的とする。研究としては、1)基盤となる、コホート眼科データの表現型解析と大規模統合データベースの作成を開始した。OCTによる網膜層厚パラメータの性差、年齢分布に関する正常人データベースの作成を行っている。2)続けてSNP情報の整理を行い、眼科形質に関するゲノムワイド相関解析Genome-wide association study (GWAS)を施行した。緑内障に関連した因子である眼圧、視神経乳頭の大きさ(垂直乳頭直径:VDD)、視神経乳頭陥凹(VCDR)に着目しGWASを施行した。各々新規の遺伝子座が見いだされ、欧米では眼圧の高い開放隅角緑内障の頻度が高いが、本邦を含む北東アジアでは正常眼圧緑内障の頻度が極めて高いという緑内障病型の相違を考慮すると、新規の遺伝子座はPRS構築に有用であると考える。3)代謝の下流にある「血漿メタボローム」との関連解析(MGWAS)を行う準備を整えている。SNP情報に加え、メタボローム情報、眼科生理学的検査(眼圧、OCT画像)から得られる情報を加味した多遺伝子リスクスコア(PRS)評価法の構築基盤を策定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多遺伝子リスクスコア(polygenic risk score:PRS)評価法の構築に向けて、コホート眼科データの表現型解析と大規模統合データベースの作成を開始した。東北メディカル・メガバンク機構地域支援センター7か所における屈折、眼軸長、眼圧、眼底写真と、年齢、性別、各生理学的検査情報、環境情報(生活環境、食生活情報)、既往歴等を統合した約33,000例のデータセットの作成を行った。また、上記検査に加え、アドオン検査として網膜断層画像のデータセット約24,000例を作成開始している(地域支援センター4か所)。年齢に伴い、平均眼圧の減少が観察された(P < 0.001)。また、SNP情報を整理し、眼圧に関するGWASを行った。コホート参加者の眼圧をパラメータとするGWASを施行し、それぞれ発見段階と検証段階で、ゲノム全体で578と7つの眼圧関連SNP を明らかにした (P<5×10-8)。メタ解析では、10の遺伝子座にまたがる1573のSNPが特定された。10の遺伝子座のうち、8つは既知の眼圧、緑内障関連の遺伝子座であり、12 番染色体上のPTPN11と21番染色体上のCOL6A2は、新規の遺伝子座であった。これは、既報の欧米人のGWASの遺伝座と部分的に相違することを見出した。また、視神経乳頭の大きさ(垂直乳頭直径:VDD)と視神経乳頭陥凹(VCDR)に関するGWASからは、VDDに関しては10番染色体ATOH7他9遺伝子座(うち1遺伝子座が新規)が明らかとなった。また、VCDRに関しては9番染色体CDKN2B-AS1他、13遺伝子座(うち3遺伝子座が新規)を明らかとした。日本人緑内障は欧米人と違い、正常眼圧緑内障が多く、日本人特有の遺伝子関与の可能性も明らかとなった。ゲノムの解析に関して、順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
多遺伝子リスクスコアPRSは多くの症例対象研究により実際に疾患リスクの増加と関連することが報告されている。同時にコホート研究でもその関連性が報告され、PRSの潜在的な有用性を認める報告は多いが、臨床的な有用性はまだ確立されていない。 緑内障の診断は、構造的、機能的な検査で視神経障害を検出することにより行われる。構造緑内障の早期発見はOCTによる網膜層厚パラメータに依存し、その診断的価値が高い。 SNP情報に加え、メタボローム情報、眼科生理学的検査(眼圧、OCT画像)から得られる情報を加味した多遺伝子リスクスコア(PRS)評価法の構築を行う。具体的には、以下の段階で研究を推進する。 1)眼圧、垂直乳頭直径:VDD)と視神経乳頭陥凹(VCDR)に関するGWASについて、検証を詰め、関連するSNPの精緻な効果量、ベータ値等を算出する。2)ゲノム・オミックス解析MGWASを大規模に高精度に行うため、検体採取から処理、保管、サンプル作成、計測まで一貫した工程であるが、その品質が高いことを確認し、メタボローム解析を進める。3)OCTによる網膜層厚パラメータの性差、年齢分布に関する正常人データベースを作成する4)メタボローム情報、眼科生理学的検査(眼圧、OCT画像)から得られる情報を加味した多遺伝子リスクスコア(PRS)評価法の構築基盤策定を行う
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