研究課題/領域番号 |
22K09818
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
北市 伸義 北海道医療大学, 予防医療科学センター, 教授 (40431366)
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研究分担者 |
南場 研一 北海道大学, 大学病院, 准教授 (70333599)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ベーチェット病 / 疾患感受性遺伝子 / 遺伝子解析 / 遺伝子タイピング / ぶどう膜炎 / 口腔マイクロバイオーム / シルクロード |
研究開始時の研究の概要 |
本研究計画は以下の6部分からなり、(i) シルクロード諸国と共同研究体制構築、(ii) ベーチェット病現地調査・臨床像の比較検討、(iii) 患者検体採取、(iv) 患者遺伝子解析、(v) 口腔内細菌表面蛋白自己抗体の解析、(vi) 口腔内細菌叢メタゲノム解析、の順に研究を進める。特に(iv)、(v)、(vi)が重要部分である。
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研究実績の概要 |
研究計画に則り、研究を行なった。新型コロナウイルス感染症の行動制限が2023年に緩和され、ヨルダン=ハシミテ王国での現地調査を実施したヨルダンでは47人のベーチェット病患者の診察および唾液検体採取ができ、健常対象者45人からも検体採取できた。患者の平均年齢は41.9歳であり男性33例、女性14例であった。4主症状の発現頻度は口腔内アフタ性潰瘍100%、皮膚症状88.9%、外陰部潰瘍 84.4%、眼症状 71.1%であった。診察時の視力は0.8以上の良好群が69.4%、0.1以下の不良群が5.6%であった。治療はステロイド薬の内服が91.5%で処方されており、免疫抑制薬が85.1%、生物学的製剤である腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬は29.7%で使用されていた。 疾患関連遺伝子では最も相関が強い HLA-B51 の解析まで進んでおり、保有率は患者群で70.2%、健常対照群では15.6%であった。オッズ比は 12.8 となり、他地域と同様にHLA-B51 遺伝子はベーチェット病発症に強く相関していた。 ヨルダン人のベーチェット病臨床像はシルクロード地域の既報と類似しており、疾患の特徴は同じであった。HLA-B51 の保有頻度は日本などより高頻度であった。近隣国のサウジアラビアやトルコ、ギリシャでも同遺伝子は高頻度であった。これらの地域では他地域より健常者でも HLA-B51保有頻度が高かった。 現在は唾液サンプルから口腔内細菌叢のゲノムショットガン解析を試みており、詳細で有用な結果が得られると期待している。 モンゴル国でのベーチェット病患者の臨床像と遺伝子解析は引き続き継続しており、疾患関連遺伝子と臨床像の関係を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症の影響で過去2年間、海外現地調査は制限された。しかし2023年はモンゴルとヨルダンのサンプルを解析することができた。モンゴルではサンプルの状態が良好で遺伝子解析が順調に進み、現在は臨床症状の特徴などの解析も行なっている。さらに比較のために日本人患者の臨床像や予後影響因子の人工知能(機械学習)を用いた予測モデル解析を行い、有用な結果が出てきており、こちらも順調に推移している。 海外各国の現地調査が計画通りは行えなかったことはパンデミック下でやむを得ないが、可能な部分から研究計画を進展できたと考える。本来、毛髪サンプルでも状態が良ければ患者 DNA 解析は可能であるので期待したが、ヨルダンからのサンプルは今回、輸送時の劣化で解析不能であった。現地と今後の共同研究を進める上で採取や輸送の手順確認など反省点をノウハウとして蓄積できたこともおおむね順調の範囲内と考える。 2023年度はヨルダンを訪問して直接サンプルを収集・回収できた。良質な唾液サンプルを採取して患者 DNA と口腔内フローラの解析が可能になると考えている。近年の急速な解析技術の進歩により、唾液サンプルからの口腔内細菌叢解析はアプリコン解析からゲノムショットガン解析に移行したいと考えている。現在準備を進めており、今年度中にある程度の結果が得られると見込んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが変更になり、渡航に関わる諸条件が緩和されることで研究の進捗が加速した。 ヨルダン=ハシミテ王国は2023年度前半に現地調査を行い、解析に必要な数の臨床データセットとその唾液サンプルを収集できた。しかし、その数ヶ月後から現地付近は戦争状態となったため当初想定以上に極めて貴重なサンプル群となった。この貴重なサンプルを最大限に活用するため全ゲノムショットガン解析を行いたい。 モンゴル国については現在大学間共同研究連携協定調印手続きのためメモランダムを交換中である。タイ王国の大学とも共同研究の合意形成が進んでおり、今後進展する可能性が高い。また、日本国内でも他大学と口腔内環境および血液中の自己抗体に関する共同研究の合意が進んでいる。それ以外の国については国際ベーチェット病学会や国際セミナーを主体的に開催して参加者から各国の情報を集めている。 集まったサンプルは計画書通りに口腔内フローラと患者 DNA を解析し、臨床像については日本などと比較しながらその特徴を解析する予定にしている。
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