研究課題/領域番号 |
22K09836
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
山田 直之 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (70437630)
|
研究分担者 |
芦森 温茂 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60870459)
木村 和博 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60335255)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | TGFBI / 角膜ジストロフィ / 細胞外マトリックス |
研究開始時の研究の概要 |
角膜ジストロフィは遺伝性に視力を低下させ、角膜混濁をきたす疾患群である。分泌型細胞外基質としての作用や細胞外から細胞内へ情報を伝える機能を有するTGFBI蛋白質には、アミノ酸置換の違いでTGFBIの蛋白質構造、可溶性、凝集性、分子間結合特性に変化をきたす可能性がある。細胞外に分泌されたTGFBIの生理活性に着目し、TGFBI関連角膜ジストロフィにおける表現型を規定する分子機序を解明していく。
|
研究実績の概要 |
角膜ジストロフィは、両眼性に角膜混濁を生じ、視力低下を引き起こす遺伝性疾患である。この疾患の主要な原因として、TGFBI遺伝子の変異が挙げられ、遺伝子変異により角膜に異常な蛋白質の沈着が見られる。重症例では、角膜混濁が著しく、視力低下も顕著である。現時点での治療法は、角膜移植や治療的レーザー角膜除去術などの対症療法が主であり、長期的な再発の可能性が高い。そのため、遺伝子変異に基づいた発症機序の解明や新たな治療法の開発が求められている。本研究では、TGFBI遺伝子の変異による角膜ジストロフィの分子機序を解明し、治療法の基礎的な情報を得ることを目的とした。まずは、ヒトTGFBIのcDNAをクローニングし、角膜上皮細胞を用いたin vitro実験での発現検討を行った。さらに、TGFBI蛋白質の機能ドメインに着目し、さまざまな変異体を作成し、その発現を培養細胞にて検討した。いくつかの変異体で、十分な発現が得られていない事が明らかとなり、それらについては新たな発現ベクターにて再度構築を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的は、角膜ジストロフィ症例におけるTGFBI遺伝子変異の表現型の多様性を理解するため、TGFBI遺伝子の産物であるTGFBIタンパク質の細胞外基質としての機能と、細胞外からのシグナル伝達の分子メカニズムを解明することである。これまで、野生型のTGFBI遺伝子のcDNAをクローニングし、哺乳類での発現ベクターの構築を完了した。TGFBIの本来の機能を評価するため、機能ドメインを欠損させた十数種類の変異体を作成し、角膜上皮細胞で発現させた。現状十分な発現を得られていないいくつかの変異体については、再度新たな構築を進めている。いくつかの変異体の強発現系で、角膜上皮細胞の形態や構造異常を認めているが、現状これらの表現型に起因する機能ドメイン、アミノ酸配列は明らかになっていない。
|
今後の研究の推進方策 |
角膜ジストロフィにおいて、TGFBI遺伝子の変異は多様な表現型を生み出す。その一因として、遺伝子変異によって作られる異なるTGFBIタンパク質が、細胞や組織に影響を及ぼしていると考えられる。実際、私たちが作成したいくつかのTGFBI変異体を、培養した角膜上皮細胞で過剰発現させたところ、細胞形態異常やアクチン細胞骨格の異常が見られることが明らかになった。しかしながら、十分な発現が得られない変異体もあり、未だ、細胞骨格や形態異常に影響を及ぼす機能部位は明らかになっていない。それ故、十分な発現が得られる変異体の作成とその発現確認をした後これらを用いて詳細に調べ、細胞形態異常やアクチン細胞骨格の異常に寄与する機能部位の特定を行い、TGFBIの制御メカニズムを明らかにする予定である。
|