研究課題/領域番号 |
22K09855
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56070:形成外科学関連
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研究機関 | 秋田県立大学 (2023) 富山大学 (2022) |
研究代表者 |
荒井 健一 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (40752960)
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研究分担者 |
吉田 淑子 富山大学, 医学部, 客員教授 (00171421)
相古 千加 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (10523889)
岡部 素典 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (60283066)
岩永 進太郎 富山大学, 学術研究部工学系, 助教 (70587972)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 羊膜 / 創傷治癒 / 難治性創傷 / 脱細胞化 / 糖尿病性足潰瘍 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、生きた羊膜由来上皮細胞と間葉系細胞を脱細胞化した羊膜に播種し、人工羊膜を創出する。創出した人工羊膜が創傷部で持続的な抗菌・抗炎症作用や肉芽形成を促進し、真皮層を形成する為の足場として有用であることを組織学的・分子生物学的に検討する。上記の研究から、人工羊膜の治癒機構が欠如した難治性慢性創傷における創傷治癒促進効果 (炎症期から増殖期へ移行、上皮化など)を明らかにする。
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研究実績の概要 |
糖尿病性足潰瘍(慢性創傷)は、下肢の血流が慢性的に低下した状況で外部から刺激(外傷や熱傷)が加わることで生じる。慢性創傷は治癒遅延により感染症に陥りやすく、患者の約1%が下肢切断に至る(Stoekenbroek et al, Diabetologia, 2017)。従って、慢性創傷では重症化する前に感染防御機構、創傷部位の再生法を確立することが治療の重要課題である。 本研究では、生きた羊膜由来上皮細胞と間葉系細胞を用いて人工羊膜を創出する。創出した人工羊膜が創傷部で持続的な抗菌・抗炎症作用や肉芽組織形成を促進し、真皮層を形成する為の足場として有用であることを組織学的・分子生物学的に検討することを目指す。 2022年から2023年度にかけて、人工羊膜を構築する為の足場材料としてビトリゲルに着目し、作製した人工羊膜をⅢ度熱傷糖尿病マウスへ被覆することで創傷治癒を促進するか検討した。膠原線維が凝縮されたビトリゲルの裏表に羊膜由来上皮、間葉系細胞を分けて接着した。この人工羊膜は、血管新生や肉芽組織形成を促進する液性因子、抗炎症作用を促進する因子を産生することが明らかになった。そこで、Ⅲ度熱傷糖尿病マウスへ被覆した結果、血管新生、肉芽組織形成の促進、早期に炎症を抑制し、抗炎症作用を促進することが明らかになった。以上のことより、羊膜由来細胞はⅢ度熱傷糖尿病マウスの創傷治癒を促進することが明らかになった。 次に、人工羊膜の細胞外基質を真皮層の代替として機能させる為に、羊膜を脱細胞化した細胞外基質を用いることを検討した。初期検討として、羊膜の脱細胞化、細胞の接着試験を実施した結果、上皮細胞と間葉系細胞を接着させることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者は、羊膜由来細胞の創傷治癒効果を検討する為に、(1)羊膜由来間葉系細胞を急性創傷モデル(Ⅲ度熱傷マウス)の創傷部位に播種、(2)ビトリゲルを足場材料として羊膜由来上皮、間葉系細胞を播種して、人工羊膜を構築し、Ⅲ度熱傷糖尿病マウスに創傷治癒効果を検討した。その結果、羊膜由来間葉系細胞が創傷治癒効果を有するということを明らかにし「Journal of Burn Care & Research」に2022年に報告した。羊膜由来細胞を用いて構築した人工羊膜は、創傷治癒効果を確認できたため、「Regenerative therapy」に2024年に報告した。最終年度は脱細胞化した羊膜を用いて人工羊膜を作製し、特性を明らかにしてⅢ度熱傷糖尿病マウスへの創傷治癒効果を検証する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は脱細胞化した羊膜の細胞外基質を用いて、人工羊膜を構築し、Ⅲ度熱傷糖尿病マウスの創傷部位に被覆することで、マウス由来の細胞が脱細胞化した羊膜の中に遊走してきて、真皮層として機能するかどうか検討する。人工羊膜を被覆することで、創傷治癒過程では創傷部位の上皮化、肉芽組織形成能、血管新生、抗炎症作用が促進するか組織学的、分子生物学的に評価する予定である。
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