研究課題/領域番号 |
22K09889
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56070:形成外科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
坂本 好昭 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (10464835)
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研究分担者 |
今西 宣晶 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (00184820)
山田 稔 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任准教授 (60365434)
陣崎 雅弘 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (80216259)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 肉眼解剖 / リガメント / 穿通枝 / 老化 |
研究開始時の研究の概要 |
加齢性変化としてたるみが生じるが、どんなに強いたるみが生じても皮膚そのものが筋肉 や骨から離れてしまうことはないことは周知の事実である。このように皮膚を強く骨格に結 び付ける、いわばアンカーの役割を担う組織としてリガメントという概念が提唱された。こ の存在は以前から提唱されているものの、この存在は確認できていない。 各部位にある人体の皮膚リガメント構造を視認・同定することで、加齢性変化を解剖学的にとらえ、不老治療の可能性を検討していく。
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研究実績の概要 |
これまでは乳房、臀部と比較的大きい組織をターゲットして検討を行ってきた。その理由の一つには顕微鏡下での作業を行うミクロ肉眼解剖の技術向上という目的も兼ねていた。 顔面の中で特に老化によるいわゆる”たるみ”を生じにくい部位は鼻部である。すなわち鼻部にはほかの部位に比べてしっかりとしたアンカリングリガメントが存在すると仮定して、顕微鏡下での作業を行った。その結果、鼻部には左右それぞれ上中下部位にリガメントが存在し、皮膚を強固に骨に付着させていることが判明した。この組織を切離すると鼻部の皮膚は通常よりも可動性を得ることができた。さらにこの組織をマイクロCTにて確認すると、大鼻翼軟骨と外側鼻軟骨とをつなげるscroll ligamentなどとも連続していることが判明した。 この靭帯を透明化することで、体表からその部位を確認する技法を調整中である。これまでの透明化の問題点は透明化をすると軟化してしまうために、その形態を維持しにくく360度からの確認が困難ということがあった。これを解消するために透明化した後でレジンでの固定を行い、あらゆる方向から手にもって確認する方法もあわせて検討している。 またこうした構造物には血液供給がなければ栄養されない。そこで肉眼的にはなかなか観察しにくい細動脈レベルでの血管解剖の分析を行うことと開始した。CTでは1㎜くらいまでの血管でなければ抽出は難しいが、酸化鉛とゼラチンを混注して冷蔵庫で固めることで、注入した部位に染色液が維持され評価することができるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在では月2-3程度での献体遺体での研究が可能である。この数は当初予定していた年間使用数は10-15体であったのでおおむね予定通りといえる
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今後の研究の推進方策 |
現在、透明化までの評価を行っているが、今後はこうしたアンカリングのみならず血管走行との関連性も検討する必要があると考えている。現在、fresh cavaderの血管に染色造影剤を注入して通常のCTでは観察が困難な0.5㎜以下の血管まで観察可能になっている。アンカリング構造のみならず、血行動態的に安定した皮弁のための皮膚皮下組織の血管網の検討も併せて行っている。 現在までに得た知見を2024年10月に開催予定の日本形成外科基礎学術集会で報告予定である。
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