研究課題/領域番号 |
22K09927
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
武 洲 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (10420598)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 口腔感染学 / p.gingivalis菌 / 軟膜細胞 / 脳血管内皮細胞 / シナプス / 脳バリア / 炎症 / 歯周病 |
研究開始時の研究の概要 |
臨床研究により、歯周病がアルツハイマー病(AD)の増悪因子と示唆されているが、その増悪機序には不明な点が多い。シナプス障害はADの超早期病態であり、脳内に蓄積されるアミロイドb(Ab) がその障害を惹起する。一方、申請者は歯周病病原菌P.gingivalis菌が中年マウスの脳バリアにAb蓄積と記憶障害が誘発されることを発見したが、シナプスに与える影響が検証されていない。そこで本研究において、P.gingivalis菌による脳バリア構造と機能破綻の実証、脳バリアにおけるAbクリアランス機構崩壊、 脳バリア破綻によるシナプス障害について検討を行い、歯周病のAD発端になる新たな分子機序を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究ではP.gingivalis菌による脳バリア構造と機能破綻の実証、脳バリアにおけるAβクリアランス機構崩壊ならびに脳バリア破綻によるシナプス障害について検討を行い、歯周病のアルツハイマー病発端となる新たな分子機序を明らかにすることを目的としている。令和4度では、P. gingivalis菌感染した脳バリアの血液脳髄液関門を担う軟膜細胞(Lemptonmenigal Cells, LC)からニューロンに与える影響について解析を行った。具体的には、初代LCと初代皮質ニューロンを用いて、P. gingivalis菌に感染したLCから産生分泌因子、ならびにその培養上清(PgLCM)で処理した初代皮質ニューロンのシナプス関連因子について、解析を行った。その結果、Pg菌感染したLCはIL-1βを産生分泌し、その培養上清によりニューロンにおけるシナプス関連因子の発現を低下させることが認められた。先行実験によってP.g菌に感染したマウスから、軟髄膜における IL-1βの発現増大とその近接する脳皮質におけるシナプトフィジンの発現減少ならびに記憶力低下も認められた。今回のIn Vitro実験によって、P. gingivalis菌感染により脳バリアの血液髄液脳関門を担う軟膜細胞に誘発されたIL-1βを介して、ニューロンシナプス障害を引き起こすことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
P. gingivalis菌に感染した初代LCと初代皮質ニューロンを用いた解析の結果、培養LCはPg菌を貪食し、リソソームから細胞質にカテプシン B (CatB) の漏出をもたらし、CatBは細胞質においてNLRP3インフラマソームを活性化させIL-1β産生分泌を誘導した。 一方、培養ニューロンにおいて、Pg LCM添加することによりSYP などシナプス関連因子の発現が低下したが、それらの減少はIL-1 受容体アンタゴニストの前処理によって防げた。よってP. gingivalis菌感染から、軟膜細胞にCatB/NLRP3インフラマソームに依存したIL-1β産生が誘導され、軟膜細胞からのIL-1βによって、ニューロンシナプス障害を引き起こすことが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
私たちはこれまでP.gingivalis菌に感染した主な脳バリアの血液脳関門を担う脳血管内皮細胞(Cerebrovascular endothelial cells, BECs)に、RAGEの発現増大によるAβを脳内へ輸入させることを報告してきた。今後、BECsを着目し、P.gingivalis菌LPSによるBECsのバリア構造と機能ならびにAβクリアランスについて解析を行う。
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