研究課題/領域番号 |
22K09930
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
石原 和幸 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00212910)
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研究分担者 |
菊池 有一郎 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (30410418)
国分 栄仁 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (70453785)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | Periodontal disease / Dysbiosis / Treponema denticola / Oxygen stress / Polymicrobial infection / Fusobacterium nucleatum / Porphyroonas gingivalis / Synbiosis / dysbiosis / periodontitis / synergy / polymicrobioal infection / ディスバイオーシス / 歯周病原性菌 / 歯周炎 / 病原性 |
研究開始時の研究の概要 |
歯周炎は、歯肉縁下マイクロバイオームのディスバイオーシスによって起こる疾患である事が示されている。本研究は、ディスバイオーシスに関わるkey stone pathogenであるPorphyromonas gingivalisに注目し、それと共に増加が認められるFusobacteirum nucleatum, Treponema denticola 等の菌種との菌種間相互作用に注目し、複数菌種の混合感染による病原性を、菌種間相互作用による遺伝子発現の変化と、これらの菌種の感染に対する宿主細胞(上皮細胞、歯根膜線維芽細胞等)が起こす応答の2 つの方向性から解析する事によって明らかにし、ディスバイオーシスを起こしたマイクロバイオームの病原性変化の解明を目指すものである。
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研究実績の概要 |
歯周病原細菌の定着には、環境における酸素や、他の菌種から産生されるH2O2等の作用を回避する必要がある。歯周病原細菌の1つであるTreponema denticolaの遺伝子には、他の菌種の持つOxyRのような調節因子が認められず、酸素ストレスに対する応答が明らかにされていない。これを明らかにする目的で、酸素ストレス抵抗性に関わる可能性を持つ因子として、OxtR1についての解析を行った。 OxtR1は、アミノ酸配列がTetR typeの発現調節遺伝子と高い類似性を持ち、酸素暴露によって発現が上昇していた。OxtR1を欠損させるとOxtR1の下流に存在するTDE_0260の発現上昇が認められた。TDE_0260のannotationは、4Fe-4S dicluster domain-containing proteinであり、blast解析では、ferrodoxinとの間に類似性が認められた。プラスミドを用いて作成したTDE_0259の補完株では、TDE_0260の発現上昇は消失していた。ゲルシフトアッセイの結果は、OxtR1が、OxtR1-TDE_0260オペロンの上流のプロモーターに結合していることを示していた。これらの結果からOxtR1は、嫌気条件下ではOxtR1-TDE_0260オペロンの発現を押さえているが、酸素濃度の上昇によりプロモーター部位への付着能を失い、OxtR1-TDE_0260オペロンの発現上昇が起こっていることが明らかになった。 Ferrodoxinは、鉄-硫黄クラスターを含む鉄硫黄タンパク質であり、電子伝達に関わることからTDE_0260は、代謝において機能していると考えられた。欠損株では、TDE_0260の高発現に伴い増殖速度の上昇が認められ、H2O2存在下で欠損株の増殖速度が野生株に比べて速くなっていた。これらの結果からTDE_0260は、酸素ストレス下における代謝に関わる遺伝子であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Treponema denticolaのデンタルプラーク内での酸素ストレス応答を明らかにし、プラーク細菌間の酸素ストレス回避メカニズムを明らかにすることによって、細菌間相互作用の一つとして、H2O2産生菌との間の拮抗作用の回避メカニズムを明らかに出来た。
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今後の研究の推進方策 |
細菌間の共生作用として、Treponema denticolaとFusobacterium nucleatumの間の相互作用について現在解析を行っており、共生作用によりdysbiosisが誘導されるプロセスについて解析を広げていく予定である。
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