研究課題/領域番号 |
22K09935
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
猿田 樹理 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (30454151)
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研究分担者 |
槻木 恵一 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (00298233)
杉本 昌弘 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 教授 (30458963)
山本 利春 神奈川歯科大学, 歯学部, 特任教授 (50111901)
坂口 和歌子 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (50420972)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | BDNF / 唾液腺-脳ネットワーク / 精神障害 / マルチオミックス解析 / GABA / 脳由来神経栄養因子 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、複雑な社会環境により精神障害患者が急増している。しかしながら、精神障害の病態は複雑で、未だ原因が解明されていない。 唾液腺には、神経細胞の機能維持に重要な脳由来神経栄養因子(brain-derived neurotrophic factor: BDNF) が産生されていることが知られている。 そこで本研究では、唾液腺で産生されたBDNFがどのようなメカニズムで中枢神経細胞に機能発現するのかに着目する。そして、唾液腺-脳ネットワークの観点から精神障害の病態発症と唾液成分(唾液BDNF)との関連を解明することである。
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研究実績の概要 |
これまでに我々は、唾液腺-脳ネットワークから全身への影響について追及してきた。そこで本研究は、唾液腺-脳ネットワークを介したGABA作動性神経における唾液BDNFの作用分子メカニズムを解明することにより、唾液腺-脳ネットワークから精神障害の病態発症と唾液成分との関連を解明することを目的とする。 本研究課題2年目の具体的な研究計画は、昨年度までに確立された三大精神障害モデルマウス(うつ病、統合失調症、不安障害)を用いて網羅的全脳マルチオミックス解析を行うことで唾液腺-脳ネットワークを詳細に解明することである。この精神障害モデルマウスを用いることで、唾液腺-脳ネットワークを明らかにしながらGABA作動性神経における唾液BDNFとの関連性を解明していく。 昨年度は、唾液腺BDNFトランスジェニックマウスの海馬、帯状回、島皮質、扁桃体、視床下部の脳部位を中心にメタボローム解析およびプロテオーム解析を行ったところ、特に海馬、帯状回、扁桃体にGABAおよびGADの発現が有意に高い結果が得られた。またその他、幾つか有意に高い物質も同定することが出来た。今年度の研究実績の概要としては、昨年度までにそれぞれの脳部位で上がってきた候補物質と比較しながら、うつ病、統合失調症、不安障害の海馬、帯状回、島皮質、扁桃体、視床下部の解析を行った。その結果、疾患特有の特徴のある候補物質がいくつか認められた。また、全部位に一致する物質、それぞれのモデルで一致する物資なども認められた。 これらの結果は、GABA作動性神経系シグナル伝達経路を解明するための次年度につながる大きな研究成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は三大精神障害であるうつ病、統合失調症、不安障害の海馬、帯状回、島皮質、扁桃体、視床下部のメタボローム解析を主に行った。その結果、疾患特有の特徴のある候補物質がいくつか認められた。また、全部位に一致する物質、それぞれのモデルで一致する物資なども認められた。昨年度の唾液腺BDNFトランスジェニックマウスだけでなく、モデルマウスの解析が加わり、解析部位が増えたためにプロテオーム解析まで進めることが出来なかった。 疾患特有の特徴のある候補物質や全部位に一致する物質など、これらの物質がどのように唾液腺-脳ネットワークを介してGABA作動性神経における唾液BDNFと関連するのかなど更なる詳細な検討までは進んでおらず、次年度中に検討を行う準備を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
唾液腺BDNFトランスジェニックマウスから得られた結果を比較することで、次年度は唾液腺-脳ネットワークから精神障害の病態発症と唾液成分との関連を詳細に検討する予定である。そのためには、うつ病、統合失調症、不安障害の海馬、帯状回、島皮質、扁桃体、視床下部を中心にメタボローム解析およびプロテオーム解析を行うことである。本年度は解析が進まなかったプロテオーム解析は行っていく予定である。 昨年度と同様ではあるが、昨年度から得られた唾液腺BDNFトランスジェニックマウスの結果も併せてうつ病、統合失調症、不安障害モデルの解析を行う予定である。特に海馬、帯状回、扁桃体にGABAおよびGADの発現が有意に高い結果が得られたため、海馬、帯状回、扁桃体を中心に今後は、唾液腺-脳ネットワークの解明を行っていく。 また、これらの候補物質がどのように唾液腺-脳ネットワークを介してGABA作動性神経における唾液BDNFと関連するのかなどを今後、PCR、ウェスタンブロット、ELISAや免疫組織化学的染色などの手法を用いて次年度は明らかにしていく予定である。
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