研究課題/領域番号 |
22K09937
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
引頭 毅 朝日大学, 歯学部, 教授 (10360918)
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研究分担者 |
片岡 嗣雄 朝日大学, 歯学部, 講師 (60451390)
森 大気 朝日大学, 歯学部, 助教 (10743544)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 歯垢 / バイオフィルム / マトリックス / ホスファチジルセリン結合タンパク質 / アミロイド / 自然免疫 / ホスファチジルセリン結合性タンパク質 / 唾液 / 歯周病 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、提供者から採取した歯垢検体、細胞培養実験系ならびに歯周炎モデルマウスを用い、歯垢中に検出されるPBPの種類を特定し、それらの主要な結合対象、その由来、そして歯垢中における各々の役割を分子生物学的に明らかにすることを目指し、また歯周炎の有無によるPBPの量的変化、さらには、複雑な背景をもつ歯周炎の病因解明を意図し、各PBPの病因的役割の解明を目指して研究展開していく。本研究の遂行により、歯垢中のPBPの役割に関する革新的知見が得られるよう尽力する。
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研究実績の概要 |
歯垢は様々な口腔内細菌が集合して歯頸部などに形成されるバイオフィルムである。このバイオフィルムは、細菌、菌体外多糖を含むマトリックス、及び代謝産物を主成分として構成されているとされるが、この理解は、他の環境で形成されるバイオフィルムの特性に基づく推測からなされている。しかし、歯垢は特有の状況、すなわち常に唾液や歯肉溝滲出液に晒される環境下にあり、また歯肉溝から遊出する好中球などの免疫細胞による攻撃を受けている。歯垢表面には好中球や粘膜上皮細胞の死細胞、食物残渣などが蓄積する。このような特異な環境下にあるバイオフィルムは、歯垢特有の特徴と言える。従って、歯垢は宿主由来の様々な因子の影響を受けつつ、それらに影響を与える複雑な相互作用の下で形成されると考えることが適切である。現在、我々は歯垢の生物学的特性を再考するため、歯垢マトリックスに蓄積される可能性のある、様々な宿主由来因子の存在の検証に取り組んでいる。本研究では被験者から採取した歯垢を対象に、分子生物学的手法を用いて宿主由来の因子を同定することを主な分析手法としている。調査を進める中で、歯垢内でアミロイド様フィブリルを形成して蓄積している可能性のある唾液タンパク質としてβ2-ミクログロブリンの存在が確認された。本因子は歯垢が有する低pHや高カルシウムイオン濃度に依存してアミロイド化することが明らかになってきている。その他、バイオフィルム形成と関連してアミロイド化する因子の同定も試みており、これまで明らかになっていない未知の歯垢マトリックス成分が発見される可能性が期待できる状況にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ順調に研究成果が得られており、一部の研究成果を学会発表ならびに学術誌上で論文として公表することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
現在、研究を進めるうちに明らかになってきた歯垢のアミロイドに関するエビデンスを強化しながら、その詳細についての分析を進めているところである。進捗状況に記載した通り、研究成果自体は順調に得られているが、一方、本来解析すべき標的から乖離する傾向にあるため、今後はホスファチジルセリン結合タンパク質についても調査を進め、これら成分の由来や分布、堆積の意義などを精力的に調査していく予定である。研究方法などについては現状維持で問題ないと考えている。
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