研究課題/領域番号 |
22K09948
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
坂東 健二郎 明海大学, 歯学部, 教授 (50347093)
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研究分担者 |
福田 正勝 明海大学, 歯学部, 講師 (10311614)
友村 明人 明海大学, 歯学部, 名誉教授 (60188810)
藤本 健吾 明海大学, 歯学部, 講師 (90286013)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | TREM2 / sTREM2 / マクロファージ / LPS / CXCL11 / 口腔がん細胞 / CXCL10 / macrophage / exosome |
研究開始時の研究の概要 |
CRISPR/Cas9 を用いたゲノム編集により Trem2 遺伝子の KO を行ってきたが、その過程で、TREM2 の細胞内ドメインを欠く分泌型 TREM2 様のバリアントを発現する細胞が得られた。この細胞では Trem2 を siRNA でノックダウンした細胞と LPS の応答性に違いが見られた。こうした経緯から、CRISPR/Cas9 を用いて複数の TREM2 バリアント発現細胞を作成し、TREM2 のマクロファージと破骨細胞への多様な生理的作用を解析し、さらに歯周病や MRONJ のような骨免疫学的な疾患の病態メカニズムの解明を目指すことを目的とした研究を計画した。
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研究実績の概要 |
前年度までにマウスマクロファージにおいて LPS による Ccl2, Ccl4, Ccl5, Cxcl10 および Cxcl11 の5つのケモカイン遺伝子の発現誘導に TREM2 が関わっている事を明らかにしたが、さらに詳細なシグナルを検討するため、マウスマクロファージ細胞株の RAW264.7 細胞の Trem2 を siRNA でノックダウンし、シクロヘキシミドを用いてタンパク合成を阻害した状態で LPS 刺激を行い、5つのケモカイン遺伝子の発現を確認したところ、Cxcl11 の発現だけが TREM2 を介していることが明らかになった。このことは Ccl2, Ccl4, Ccl5 および Cxcl10 の発現が、LPS により誘導される何らかのタンパク質が TREM2 を介することにより誘導されていることを示唆している。 これまでの研究で遊離型の TREM2 が恒常的に細胞外に分泌されていることが明らかになったが、マクロファージやミクログリア以外の細胞でも Trem2 を発現している可能性があると考え、解析を行った。すると、マウスやヒトの線維芽細胞では TREM2 の発現は認められなかったが、ヒトの口腔上皮がん細胞株である Ca9-22 細胞や HSC-2 細胞で発現が認められた。複数の腫瘍マウスモデルにおいて、Trem2 遺伝子のノックアウトは腫瘍増殖耐性が高いという報告があることから、今後、これらの口腔上皮がん細胞株の TREM2 遺伝子をノックアウトまたはノックダウンし、TREM2 の機能を解析していく予定である。また、可能であれば、正常口腔上皮細胞を入手し、TREM2 の発現を確認する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RAW264.7 細胞を用いた実験で、sTREM2 を介した LPS シグナルの解析を進めており、複雑と思われたケモカインの発現についても CXCL11 に絞られつつある。 また、口腔上皮がん細胞でも TREM2 の発現が確認されたことにより、新たな方向に展開していく可能性が出てきた。
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今後の研究の推進方策 |
現在、クローニングしている Trem2 KO RAW264.7 細胞に TREM2 の Dox (Doxycycline) inducible 発現ベクターを導入し、TREM2 の発現を on/off できる細胞を LPS により刺激し、発現が誘導される遺伝子が TREM2 の有無に影響されるかを網羅的に検討を行う。とくに発現に差があった5つのケモカイン遺伝子を中心にリアルタイム PCR 法などで確認し、タンパク質の発現をウエスタンブロット法や ELISA 法、Flow cytometry で確認する。 また、TREM2 の発現が認められたヒト口腔上皮がん細胞株の TREM2 遺伝子をノックアウトまたはノックダウンし、LPS や Candidalysin などの病原性物質で刺激し、上皮間葉転換に関わる遺伝子を中心にリアルタイム PCR 法などで確認し、タンパク質の発現をウエスタンブロット法や ELISA 法、Flow cytometry で確認する。さらに、これらの細胞の増殖への影響を MTT 法などで、遊走への影響をボイデンチャンバーなどで解析する。可能であれば、正常ヒト口腔上皮細胞を入手し、正常細胞についても TREM2 の発現を確認する。
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