研究課題/領域番号 |
22K09951
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
|
研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
片岡 嗣雄 朝日大学, 歯学部, 講師 (60451390)
|
研究分担者 |
引頭 毅 朝日大学, 歯学部, 教授 (10360918)
森 大気 朝日大学, 歯学部, 助教 (10743544)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 歯周病原細菌 / LPS / インフラマソーム / GBPs / 炎症性腸疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
宿主細胞内に侵入するグラム陰性菌のリポ多糖(LPS)は、IFN-γが誘導する細胞内分子グアニル酸結合タンパク質(GBPs) に認識され炎症応答を起こす。本研究では、グラム陰性の歯周病原細菌のLPSがGBPsに認識されるかどうかを解明する。また、多くの炎症性腸疾患(IBD) 患者に、血中IFN-γ増加と歯周炎がみられることから、歯周炎とIBDの進行におけるGBPsの役割を解明する。
|
研究実績の概要 |
2023年度は、Porphyromonas gingivalis菌体から精製されたLPS(LPS-PG)のヒト細胞質内における認識に、IFN-γ誘導性因子であるグアニル酸結合タンパク質(GBPs)がどのように関与しているかについて検討した。細胞質内のLPSは、Caspase 4の活性化によって 引き起こされるnon canonicalインフラマソーム活性化経路を介してIL-18産生やパイロトーシスを誘導することが明らかになってきているが、GBPsがこの経路にどのように関与しているかについては、現在まで不明である。そこで、ヒト歯肉上皮細胞HSC-2において、siRNAを用いることによってGBPsの1つであるGBP1をノックダウンした細胞を作製し、リポフェクション試薬を用いて細胞内に導入したLPS-PGに対する応答の変化を調べた。その結果、siRNAの導入によってHSC-2におけるGBP1の発現がほぼ完全に抑制されたこと、そして、そのノックダウン細胞ではIFNγによるプライミングを行っても、細胞内LPS-PGによるIL-18産生とパイロトーシス誘導がほぼ完全に阻害されたことが示された。そして、HSC-2をCaspase 4阻害剤Z-LEVD-FMKで処理すると、IFNγによるプライミングを行っても、細胞内導入LPS-PGによるIL-18産生とパイロトーシス誘導がほぼ完全に阻害されたことも示された。以上の実験結果から、細胞内LPS-PGは、IFNγプライミングで誘導されるGBP1を介してCaspase 4を活性化し、炎症応答を誘導することが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒト歯肉上皮細胞に効率的にsiRNAを導入する方法について試行錯誤を続けていたが、様々な試薬と実験条件下で実験を繰り返した結果、現在では安定した実験結果が得られている。その試行錯誤に時間を費やしたが、現在では細胞内LPS-PGの認識機構について解析が進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度はまず、ヒト歯肉上皮細胞においてIFN-γのプライミングで誘導されるGBPsが、Caspase 4活性化を介して細胞質内LPS-PGの認識に関与していることを複数の実験データにより確実に明らかにする。そして、炎症性腸疾患(IBD)と細胞質内LPS-PG認識の関係性を明らかにするために、3%デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)水溶液を投与して作製したIBDモデルマウスでLPS-PGによる歯周炎を誘発し、GBPsの発現やCaspase 4の活性化がIBD増悪に関与しているかどうかを検討する。
|