研究課題/領域番号 |
22K09965
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
成石 浩司 徳島大学, 病院, 講師 (00346446)
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研究分担者 |
西川 泰史 徳島大学, 病院, 助教 (10823833)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 糖尿病関連歯周炎 / 超高齢者 / 歯周病 / 歯肉線維芽細胞 / 糖尿病性歯周炎 |
研究開始時の研究の概要 |
<in vitro研究>高グルコース,AGEs上昇およびテストステロン低下の3因子の重積が誘導する歯周組織細胞の動態,炎症関連因子の産生性を検討する。また,新規抗炎症薬剤を用いた炎症カスケードの抑制効果も検討する。 <in vivo研究>精巣除去ラットによる実験的糖尿病関連歯周炎モデルを用いて歯周病病態の評価を行う。また,抗炎症薬投与による糖尿病関連歯周炎の治療効果を検討する。 <臨床研究>糖尿病関連歯周炎の重症度とGCF中のテストステロン濃度の関連性を横断研究によって検討する。対象は70歳以上の歯周病,糖尿病関連歯周炎患者とする。
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研究実績の概要 |
我が国は超高齢社会であり糖尿病患者の老齢化が著しいが,老齢化と糖尿病関連歯周炎の病態的関連性は不明である。そこで本研究の目的は,老齢・歯周病・糖尿病の3因子の病態的関連性を基礎・臨床の両面から検討することとした。 まず,臨床研究として老齢と歯周病の関連性を横断的に評価した。対象は当院を受診した高齢患者16名(平均年齢:76±11.9歳,内12名は心原性脳梗塞を発症)とし,その口腔内診査および全身状態を調べた。得られた口腔内診査の結果として,残存歯数:17.2±8.9本,最深ポケット深さ:5.1±1.9mm,喪失歯数:14.8±8.9本,CPITNスコア:2.9±1.2,動揺歯の割合:9.6±12.2%,4mm以上のポケットの割合:22.4±22.7%,BOP陽性率:33.7±20.4%であった。重度歯周炎患者の割合は,25.0%であった。また,半数以上の患者の歯周ポケット内からPorphyromonas gingivalisおよびTannerella forsythiaを検出した(定量PCR法,健常対照者群からは未検出)。以上のことから,超高齢者の口腔内状態は,とりわけ残存歯の歯周炎症の状態は予想よりも重症でなく,このことは喪失歯が多く“後歯周病患者”の様相を呈していることが分かった。 また,基礎研究として,カンジダ菌が多く棲息する高齢患者の口腔内を想定して,カンジダ菌の産生物質として知られるカンジダリシンの歯肉線維芽細胞への影響を調べたところ,カンジダリシンはMAPK系およびNF-kB系を介して歯肉線維芽細胞のインターロイキン6の産生を有意に亢進することが分かった。このことはカンジダ菌も歯周炎症を誘発する因子である可能性を示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高齢者因子としてホルモン系を想定していたが,テストステロンによる細胞反応が弱かった。そこで超高齢者の口腔内にカンジダが多く棲息することを踏まえて,カンジダ菌由来のカンジダリシンの動態に着目し,その有益な細胞作用を見出すことができたので,おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
臨床研究におけるサンプルサイズの拡充により一層努める。テストステロン以外の老齢マーカーの抽出を目指す。 動物実験において,器具・材料の整備点検も含めて,再現性のある老齢+歯周病のラット動物実験モデルの確立を目指す。 基礎培養研究において,歯肉線維芽細胞のテストステロン受容体の有無を再確認する。
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