研究課題/領域番号 |
22K09971
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
村松 敬 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00276982)
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研究分担者 |
三友 啓介 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (90844051)
溝口 利英 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (90329475)
山口 朗 東京歯科大学, 歯学部, 客員教授 (00142430)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 歯髄 / 歯髄血管再生療法 / 歯根膜 / Type H 毛細血管 / Type H 血管 / 間葉系幹細胞 / シングルセル解析 / セメント芽細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
根未完成歯に対する歯内療法には歯髄血管再生療法がある。本療法の治癒過程では,まず根管内へ血管が侵入し,次いで根尖部や根管壁にセメント質が添加されるが,その過程に関与する細胞群の由来と分化制御機構は明らかにされていない.最近,骨髄で幹細胞ニッチとなる特異的な血管(Type H 血管)が同定され,硬組織形成に寄与することが明らかにされている.そこで本研究では,歯髄血管再生療法のマウスモデルを用いた形態学的解析,遺伝子改変マウスを用いた細胞系譜解析とシングルセル解析による分子生物学的解析を活用して、治癒過程で出現する Type H 血管の局在とセメント芽細胞の分化過程とその制御機構を明らかにする.
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研究実績の概要 |
2022年度は我々が開発した歯髄血管再生療法のマウス実験モデルを用いて硬組織形成のニッチと考えられる Type H 毛細血管(CD31 と endomucin に共陽性を示す毛細血管)の局在と硬組織形成への寄与を調べるため osterix の局在を検討した。 その結果、術後1時間では,根管内にType H 毛細血管を認めなかったが、5日では Type H 毛細血管は根尖より根管内に侵入し,微小な分枝を形成していた。7日では歯根中央付近に至る Type H 毛細血管が観察されたが、その先端では CD31 にのみ陽性を示し、endomucin には陽性を示さなかった。14日では根管内全体に Type H 毛細血管が認められ,特に根管壁周囲に局在していた。Osterix 陽性細胞は7日目では根管壁に沿って認められ,その近傍に endomucin 陽性毛細血管を認めた。14日では osterix 陽性細胞は根管壁全体を取り囲むように局在していた。新生硬組織を検討するためにはcalcein標識を行ったところ7日において endomucin 陽性毛細血管周囲に新生硬組織を認め,14日では新生硬組織の増加を認めた。以上の結果から,治癒過程において Type H 毛細血管は術後に根尖部の歯根膜組織から根管内に侵入し,硬組織形成に寄与することが示唆された。 2022年度に得られた結果は第156回 日本歯科保存学会、第314回 東京歯科大学学会で発表した。また歯髄血管再生療法のマウス実験モデルについては2022年に誌上発表された(Komada et al., Front Dent Med 2022)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定ではType H 毛細血管の局在を突き止めるのに2年かかるとみていたが、よく反応する抗体がみつかったことや細胞系譜解析でも用いる予定であったosterixの局在についてもある程度の結果が出てきており、予想以上に早いペースで進んでいる。また確立したマウス実験モデルでの精度が良くなったことも一因と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の結果を踏まえて、2023年度は間葉系幹細胞の由来と局在、さらにはセメント芽細胞への分化について遺伝子改変マウスを用いた細胞系譜解析を行うとともに、Type H 毛細血管との関与を詳細に検討する予定である。
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