研究課題/領域番号 |
22K09972
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
木村 麻記 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (90582346)
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研究分担者 |
渋川 義幸 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (30276969)
黄地 健仁 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (30803564)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 象牙芽細胞 / 三叉神経節細胞 / cyclic AMP / calcium signaling / 三叉神経節ニューロン / 歯髄炎 / 細胞間連絡 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では三叉神経節細胞-象牙芽細胞間逆行性連絡で生じた象牙芽細胞内cAMP/Ca2+シグナルを生物物理・薬理学的に検討し、それら細胞内シグナルの象牙芽細胞機能への作用を明らかにする。これにより、歯髄炎時の象牙芽細胞機能変化を明らかにする。得られた結果から第3象牙質形成や歯の疼痛制御に対する歯髄炎の影響の解明につながる。
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研究実績の概要 |
歯髄炎症反応では歯髄内圧が亢進し、三叉神経節細胞(ニューロン)の圧迫が生じる。本研究では「歯髄炎時に三叉神経節細胞が放出する物質を同定し、その物質を介した三叉神経節細胞-象牙芽細胞間逆行性ネットワークが象牙質形成や象牙質痛をどのように調節するか」を革新的な問いとしており、歯髄炎時の象牙芽細胞変化と第3象牙質形成や歯の疼痛制御に対する歯髄炎の影響を解明したい。2023年度は以下の3点を明らかにした。 1)免疫蛍光染色によりヒト培養象牙芽細胞はGsタンパク質共役型受容体である5-HT4、A2A、D1受容体とVIP受容体サブタイプのVPAC1とVPAC2を発現することが示された。5-HT4受容体、A2A受容体、D1受容体、VIP受容体は。それら受容体のアゴニストは細胞内cAMPレベルを増加した。その細胞内cAMP増加はアデニル酸シクラーゼ(AC)の抑制薬または各受容体拮抗薬の投与で有意に抑制された。このことから、象牙芽細胞に5-HT4、A2A、D1、VIP受容体が機能的に発現することが示唆された。 2)免疫蛍光染色により三叉神経節細胞にGsタンパク質共役型受容体であるβ2受容体、calcitonin receptor-like receptor(CALCRL)、5-HT4、A2A、D1受容体が発現することが示された。三叉神経節ニューロンにそれら受容体のアゴニストを投与すると細胞内cAMPレベルを増加した。その細胞内cAMP増加はACの抑制薬の投与で有意に抑制された。このことから三叉神経節ニューロンにβ2、CGRP、5-HT4、A2A、D1受容体が機能的に発現することが示唆された。 3)ヒト培養象牙芽細胞による石灰化はACの活性化により抑制された。 これらは歯髄炎時に三叉神経節細胞が放出する可能性がある物質に対する象牙芽細胞、近傍の三叉神経節ニューロン応答の解明につながる成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
神経伝達物質の受容体にはGsタンパク質共役型受容体も多く存在するが、象牙芽細胞や三叉神経節ニューロンでのGsタンパク質共役型受容体の発現、細胞内cAMP増加による細胞機能への影響は不明な点が多い。したがって、三叉神経節ニューロンから分泌される伝達物質による象牙芽細胞や近傍の三叉神経節ニューロン応答を解明するため、2023年度はGsタンパク質共役型受容体に着目し研究を進めた。これにより進捗が当初よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は以下の項目について検討する。 1)象牙芽細胞内cAMP誘発性Ca2+流入経路を細胞内Ca2+濃度測定、細胞内cAMPレベル測定により明らかにする。shRNAを用いた検討も行うことで特定する。 2)サブスタンスP、NKA、ATP、グルタミン酸など、CGRP以外の三叉神経節細胞-象牙芽細胞間連絡の伝達物質の可能性を検討する。象牙芽細胞におけるサブスタンスPとNKAの受容体の機能的発現を細胞内Ca2+濃度測定により明らかにする。 3)1)で特定したタンパク質の象牙芽細胞の石灰化能に対する作用を検討する。1)で特定したタンパク質のshRNAまたはsh-controlをトランスフェクションした象牙芽細胞を石灰化誘導培地中で培養し、alizarin red染色とvon Kossa染色を行い、石灰化レベルを比較する。
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