研究課題/領域番号 |
22K09979
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中村 友美 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (00807589)
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研究分担者 |
柏木 陽一郎 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教 (20598396)
山下 元三 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (90524984)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | プロテオスタシス / コラーゲン / フォールディング / 歯根膜細胞 / オートファジー / 歯周病 |
研究開始時の研究の概要 |
歯根膜は、コラーゲンなどの細胞外基質(ECM)タンパクを大量に産生しており、細胞内のタンパク恒常性維持には、合成、分解、立体構造の安定化(フォールディング)による量や質の管理が不可欠である。加齢により環境ストレスが蓄積した歯根膜では、 オートファジーやフォールディングの異常が推察される。本研究では、コラーゲン特異的なシャペロン分子(HSP47)に着目し、環境ストレスが歯根膜コラーゲンのフォールディングに及ぼす影響を検討する。得られた分子基盤情報に基づき、歯根膜細胞のフォールディングとオートファジーを活性化することによる、高品質なコラーゲンやECM産生を誘導する、新規の歯周病治療法の開発に挑む。
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研究実績の概要 |
歯根膜は、細胞外基質タンパク、とりわけコラーゲン生合成の活発な組織である。細胞内のタンパクの恒常性を維持(プロテオスタシス)するためには量や質の管理が不可欠であり、タンパク合成と分解のみならず、立体構造の安定化(フォールディング)が重要である。 昨年度の研究において、老化ヒト歯根膜細胞(HPDL)においては、コラーゲン特異的なシャペロン分子(HSPs)の活性が低下し、変性コラーゲンが増加していることが観察された。実際に、HSPs阻害剤の添加によってHPDLの細胞外type I collagenが減少し、変性コラーゲンの増加がみられた。一方、HSPs誘導剤であるGeranylgeranylacetone(GGA)の添加により老化HPDLのtype I collagenの産生量は増加し、変性コラーゲンは減少した。 本年度は、HSPs阻害剤の非特異的な薬理作用を排除し、HSP47に特異的な生理作用を検討するため、siRNAを用いてHPDLのHSP47をノックダウンし評価を行った。これまでの阻害剤を用いた実験と同様に、siHSP47導入HPDLの細胞外のtype I collagen発現を細胞免疫染色より検討し、培養上清中の成熟type I collagen 量をELISA変法により評価した。また、蛍光プローブCollagen Hybridizing Peptide(CHP)を用いて変性コラーゲンを標識し、共焦点顕微鏡で評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
siHSP47導入HPDLにおいては、細胞外type Ⅰ collagenの発現が低下していることが観察され、成熟type Ⅰ collagenの産生が有意に低下していた。また、siHSP47導入HPDLではCHP標識の変性コラーゲンが増加し、その一部は、ER-Trackerで標識した小胞体へ局在が観察された。老化HPDLにおいては、正常HPDLよりもCHPが増加していることを昨年度までに明らかとしたが、とりわけ小胞体に集積していることを発見した。老化HPDLにHSPs誘導剤であるGGAを添加すると、CHPの小胞体への凝集は減少した。
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今後の研究の推進方策 |
HSPs誘導剤あるいは阻害剤の添加が小胞体ストレスならびにオートファジー活性に与える影響を、qPCR法とウェスタンブロッティング法を用いて検討する。また、オートファジー誘導剤の添加が、変性コラーゲンの蓄積と成熟コラーゲン産生に与える影響を、CHPを用いた解析、qPCR法、ELISA法により検討する。 また、高週齢マウスのP.g.菌投与絹糸結紮歯周病モデルを用いて、GGAあるいはオートファジー誘導剤の投与によるコラーゲン構造の変化をin vivoモデルで解析する。
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