研究課題/領域番号 |
22K09985
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
祐田 明香 九州大学, 大学病院, 助教 (20814081)
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研究分担者 |
濱野 さゆり 九州大学, 歯学研究院, 助教 (40757978)
和田 尚久 九州大学, 大学病院, 教授 (60380466)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 酸化グラフェン / スキャフォールド / 細胞成長因子 / 歯周組織再生治療 / 格子状シート |
研究開始時の研究の概要 |
酸化グラフェンは、近年、生体応用への足掛かりが報告されている。Zhangらはコラーゲン-酸化グラフェン複合体を作製し研究を行った結果、間葉系幹細胞の骨芽細胞分化が促進されたことを報告している。また、格子状のシートの使用は、格子サイズにより細胞の成長に違いがあることを見いだされためである。さらに、ゼラチンハイドロゲルは、様々な生体組織の再生の修復実現に使用されている。例えば、FGF-2の徐放技術は、骨、軟膏の再生治療、虚血性心疾患に対する血管誘導治療を可能としている。以上のことから、細胞成長因子デリバリー格子状シートの新規歯周組織再生療法への応用を検討することとした。
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研究実績の概要 |
歯周病は、嫌気性細菌を主とする歯周病原菌が感染し、生体側の反応の結果生じる炎症に起因しており、主に歯と歯肉の付着の喪失、歯根膜組織の破壊、歯槽骨の吸収などの症状が現れる。さらに、重度の歯周病は、歯周組織に不可逆的な損傷を引き起こし、その結果として歯の喪失を招くこととなる。以前より、歯科領域では、「歯周組織再生療法」の研究が行われ臨床応用もされているが、未だに再生療法の適応症の範囲には限りがある。それゆえ、より有効な歯周組織再生療法の開発が待ち望まれている。1993年、「組織工学」という概念が提唱され、細胞・成長因子・足場の3種が揃うことが必要とされてきた。生体内では、細胞が分化・増殖する場合、細胞外マトリックスが足場として機能し、構築を行っている。組織が損傷した場合、組織が再生される間、一時的に足場材料を補う必要がある。つまり、「足場」は再生医療を実現するために不可欠な因子であると考えられる。しかし、現行の歯周組織再生療法は、「足場」を既存の歯周組織に求め、新たに「足場」を構築するという概念が導入されていない。本研究では、歯周再生療法における足場に注目する。1)生体親和性を持つ基材に酸化グラフェンを付着させた足場の作製、2)細胞成長因子を含有させた足場材が細胞に及ぼす影響の検討、3)歯周組織欠損および歯周病モデルラットへの移植実験を行うことにより、歯周組織再生の方法を確立することを企図している。 当初は、酸化グラフェンを主体とした格子状のシートを作製し、足場とする予定であったが、酸化グラフェンの特性を考え再考した結果、酸化グラフェン主体ではなく、既存の基材に酸化グラフェンを付着させた足場材を作製し、現在、足場材に細胞成長因子を含有し、徐放されることも確認済みである。細胞への影響、動物実験への準備はすすんでいるが、研究の進捗状況はやや遅れている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は、酸化グラフェンを主体とした格子状のシートを作製し、足場とする予定であったが、再度、酸化グラフェンの特性を考えた結果、酸化グラフェン主体の場合、組織親和性が低下する可能性が考えられたため、既存の基材に酸化グラフェンを付着させた足場材を作製することとした。現在、足場材が確立され、動物実験に繋げていく予定であるが、動物実験を行う準備に時間を要したことなどから、進捗状況はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
酸化グラフェンを付着させた足場材に細胞成長因子をコーティングしたスキャフォールドの解析を、ラット頭蓋への埋植実験、歯周組織欠損モデルへの移植実験と、in vivoで進めていく予定である。
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