研究課題/領域番号 |
22K10004
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
加藤 幸紀 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (50281283)
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研究分担者 |
植原 治 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (00709248)
長澤 敏行 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90262203)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 女性ホルモン / プロゲステロン / エストロゲン / 歯周病治療 / Microbiome解析 / RNA-Seq / RNAシークエンス解析 |
研究開始時の研究の概要 |
妊娠と同様に、女性ホルモンの大きな変化のある時期として閉経があるが、閉経後のエストロゲンの低下による骨粗鬆症発症は歯周炎のリスクとなるとされている。閉経期における歯周病において、エストロゲンといった女性ホルモンが歯周病を悪化させるとする妊娠期とは相反する解釈がなされている。申請者らは女性ホルモンの変動が及ぼす口腔細菌叢及び歯周組織への影響を包括的に明らかにすることで、女性の歯周病治療において新たな診断・治療へと発展すると考える。
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研究実績の概要 |
本研究では妊娠・非妊娠女性、閉経後の女性を対象として口腔内細菌と歯周組織の炎症をMicrobiomeとRNA-Seqで網羅的に解析し、さらには女性ホルモンの影響をマウスモデルとヒト培養細胞の実験で確認し、女性の各ライフステージにおける歯周病の発症・進行をシームレスに抑止することを目的としている。 (1)ヒト臨床研究:閉経後の女性、20~40代の非閉経女性、正常妊娠女性、切迫早産妊婦を被験者として収集し、唾液のエストロゲン、プロゲステロン量の測定、唾液・頬粘膜・歯周ポケットのMicrobiome解析とRNA-Seq行う予定とした。現在は被験者収集とサンプル採取を継続している。 (2)卵巣摘出マウスを用いた女性ホルモンの影響について:女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)による口腔細菌叢の変化を解析したところ、プロゲステロンを投与することでα多様性とβ多様性に変化が認められ、Lactococcus属などの割合を増加させることが明らかになった。また、エストロゲンやプロゲステロンを投与することでプロピオン酸に関わるパスウェイ経路が上昇し、プロゲステロンを投与することでピリドキサール5'-リン酸に関わる経路が上昇することも明らかになった。 (3)女性ホルモンによるヒト歯肉上皮細胞への影響について;エストロゲンあるいはプロゲステロン添加培養ヒト歯肉上皮細胞からRNAを抽出し、RNA-Seqを行った。DEGは対照群と比較してエストロゲン添加群では2倍以上の増加が699遺伝子、低下が348遺伝子であり、プロゲステロン添加群では増加が1448遺伝子、低下が924遺伝子であった。パスウェイのz-scoreから、エストロゲン添加群とプロゲステロン添加群の両群においてWound Healing Signaling Pathwayの活性が上昇することが予測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床サンプルは、閉経後の女性20名、20~40代の非閉経女性20名、正常妊娠女性20名、切迫早産妊婦20名を予定被験者数としており、現在も収集を継続している。予定被験者数に達していないこともあり、2022年度に予定したホルモン量測定、口腔細菌のMicrobiome解析、RNA-Seqについては、2023年度以降開始する予定である。 動物実験・細胞実験については、臨床サンプル収集と並行して開始した。2023年度はシグナルパスウェイ解析等、継続して実施する。
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今後の研究の推進方策 |
1.現在、閉経期・更年期女性、月経のある女性、妊婦サンプル採取を継続している。年齢層が幅広く、歯周治療希望患者にややばらつきがあるため、目標被験者数まで時間を要している。2023年度以降、これまで収集したサンプルについては、ホルモン量測定・Microbiome解析・RNA-Seqを実施する。 2.閉経モデルマウスを用いた検討で、エストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンは口腔細菌叢や機能に影響することが示されたことから、女性ホルモンは口腔内へ影響を与える可能性が示された。今後、エストロゲンやプロゲステロン投与によるマウス体内ホルモンの血中濃度や唾液中濃度の変化について検討する。 3.細胞実験により得られたパスウェイ解析を基に、詳細な解析を継続実施する。
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