研究課題/領域番号 |
22K10006
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
高見澤 俊樹 日本大学, 歯学部, 准教授 (60373007)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | マイクロクラック / tooth wear / 衝突摩耗 / 亀裂進展 / 摩耗量 / 亜鉛含有グラスアイノマー / 改質エナメル / Tooth wear / 固体NMR法 |
研究開始時の研究の概要 |
本申請研究は,フッ素化合物によるエナメル質改質モデルの製作と,このエナメル質改質モデルの化学的定性および静的・動的試験を用いた定量化を行う。化学的および機械的因子の関与するtooth wearの進行においては,改質エナメル質のフッ化物の違いによってその挙動は異なる可能性があり,エナメル質改質モデルの化学的定性は酸抵抗性や機械的性質を考察する上で重要である。そこで,本申請研究では化学的定性に固体核磁気共鳴法を用いて,フッ素化合物を応用した際のエナメル質の化学的組成を定性する。また,材質特性の観点から改質エナメル質の機械的性質の把握を行い,tooth wear 予防に基礎的エビデンスを与える。
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研究実績の概要 |
Tooth wearは,化学的因子と機械的因子との相互作用によって進行する。エナメル質に生じたマイクロクラックはtooth wearの起点となり,その進行に深く関与するものと考えられる。しかし,マイクロクラックの発生およびtooth wearの進行に関してはエナメル質の化学的組成あるいは機械的性質の違いによっても異なる可能性があるが,その詳細については不明な点が多い。そこで,異なる化学的組成あるいは機械的性質を有するエナメル質がマイクロクラック発生およびtooth wear進行に及ぼす影響を解明することを目的とする。すなわち,実験室環境でフッ素化合物を応用することで改質を行ったエナメル質について化学的組成分析を固体NMR法から行うとともに機械的性質を静的・動的力学的試験から求める。次いで,化学および機械的因子を負荷した衝突摩耗試験から,エナメル質の改質がマイクロクラックの発生およびtooth wear の進行に及ぼす影響を解明し,予防法に基礎的エビデンスを与えることを本研究の目的とした。 初年度には,エナメル質の再石灰化および強化が期待されている亜鉛含有グラスアイオノマーセメントがエナメル質のtooth wearに及ぼす影響についてウシエナメル質に対して衝突摩耗試験およびビッカース硬さ試験から検討した。その結果,亜鉛含有グラスアイオノマーを応用したエナメル質の摩耗深さ,摩耗量および表面粗さは,これを用いないエナメル質に対して低い値を示し,摩耗深さにおいては有意差を認めた。また,試験終了後のエナメル質の走査電子顕微鏡観察から,亜鉛含有グラスアイオノマーを応用したエナメル質では,亀裂の進展が抑制された様な像を呈した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた固体NMRを用いた改質エナメル質の化学的同定については,実験を進めているが纏まったデーターが得られるまでには進捗していない。残りの2年間で十分な成果が得られるものと考えている。しかし,亜鉛含有グラスアイノマーを応用したエナメル質への衝突摩耗試験によるTooth wearについては,十分な結果が得られている。また,現在衝突摩耗試験後のエナメル質の元素分析を行っており亜鉛含有グラスアイノマーを応用したエナメル質変化について化学的観点から根拠を与えるものとしている。
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今後の研究の推進方策 |
エナメル質改質モデルの製作およびフッ素アパタイトの同定については,ウシ前歯から10×10×1 mmのエナメル質を採取,2%フッ化ナトリウム溶液に28日間浸漬する。試片を粉砕した後,専用試験管に填塞,個体NMR装置(JNM-ECZ-500)から核種19Fおよび31Pから測定試料のスペクトルを得る。得られたスペクトルについては,レファレンスと比較してフッ素アパタイトおよびハイドキシアパタイトの化学的組成の同定を行う予定である。 申請者が代表者として採択された科研費助成事業(19K10158)を参考に,周波数および荷重が変更可能な万能試験機から3点曲げ応力を負荷するとともにStair case methodから3点曲げ疲労強さを求めるとともにマイクロクラックについて観察する予定である。
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