研究課題/領域番号 |
22K10035
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57040:口腔再生医学および歯科医用工学関連
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
武川 恵美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (50633872)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 歯科用セメント / オンデマンド / 導電性フィラー / 接着 / 通電 / 分離 / セメント / 剥離 |
研究開始時の研究の概要 |
歯科用インプラント治療は隣在歯の歯質削除が不要で、咀嚼能力は高く異物感は低い有効な治療法である。しかし、スクリュー固定式、セメント固定式は両者とも、審美性・衛生面・着脱の手法において完璧な手法とは言い難い。もし、セメント固定式インプラントの上部構造を簡単に着脱できる歯科用レジンセメントが存在すれば、アクセスホールにより審美性・耐久性を損なうことなく、スクリューなしで上部構造が容易に着脱できるインプラントが可能となる。そこで、レジンセメントに導電性をもたらす方法を考案し、その導電性や接着強度を調べ、レジンセメントの通電剥離の可能性を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
研究代表者が所属する研究室ではこれまでに、市販の歯科用グラスアイオノマーセメン(GIC)にイオン液体(IL:常温で液体の塩)を混ぜて導電性を与えた歯科用スマートセメントを開発してきた。しかし、同時に、GICはILを添加しなくても硬化直後には導電性を示すが、完全に乾燥させると導電性は消失すること、さらに、乾燥したGICを蒸留水に浸漬すると、導電性は復活し、通電により接着強度が低下することも発見した。本研究では、このGICの導電性の知見を基盤として、歯科用レジンセメントに対して、電解質の添加や導電性フィラーの添加といった手法で導電性を付与し、歯科用レジンセメント(以下、レジンセメント)の通電剥離の可能性を明らかにすることを目標としている。 今年度は、歯科用レジンセメントに導電性発現を与える手段として、MMA系セメントに導電性フィラーを添加して導電性が得られるかを調べた。MMA系セメントであるスーパーボンド(SB)単体では導電性が得られなかったのに対して、導電性フィラーである導電性酸化亜鉛(ZnO)をSBに4.3vol%添加すると、有意な導電性を示したが、セメントの強度がSB単体よりも25 %以上低下した。そこで、SBとZnOの界面結合を改良するために、シランカップリングを施し表面改質を行ったZnO(表面改質ZnO)をSBに4.3vol%添加したところ、セメントの強度は表面改質を行わないZnOよりも高かったが、導電性はほとんど失われた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究でMMA系セメントにNaClを取り込んだり、導電性フィラーを添加したりすることで、導電性を付与できることが明らかになった。しかし、SBへのZnO添加により、SB単体よりも強度が低下したことから、添加する導電性フィラーの変更が必要であると考えられる。ただし、マトリックスやフィラー、いずれかに導電性を持たせられれば、歯科用レジンセメント全体に導電性が発揮できることが明らかとなった。よって、歯科用レジンセメントの導電性発現のための材料設計の基本は確立しつつあり、今後は新たな導電性フィラーの選定及び通電前後の接着強度変化の確認を行っていく。本研究の進捗状況はおおむね順調であるといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は、導電性フィラーを添加することで、セメント全体に導電性を付与できることが分かった。しかし、導電性フィラーに表面改質を施すと導電性は著しく低下した。元々、マトリックスセメントとフィラーの界面結合が困難であることを考慮すると、導電性フィラーの表面改質は必須である。そのため、表面改質を行っても導電性を発揮できるフィラーが必要となる。そこで、新たな導電性フィラーを選定し、表面改質後も導電性を発揮できるかどうかを調べ、通電前後の接着強度の変化の確認を行う予定である。
|