研究課題/領域番号 |
22K10044
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57040:口腔再生医学および歯科医用工学関連
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
二瓶 智太郎 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (50237781)
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研究分担者 |
大橋 桂 神奈川歯科大学, 歯学部, 准教授 (30350531)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | シランカップリング剤 / コンポジットレジン / ナノハイブリッドフィラー / 耐水性 / 摩耗性 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,審美性歯科材料に対する臨床上のニーズが高まっている.その中で頻用されているコンポジットレジン,あるいはセラミック修復において,フィラーおよびセラミックとマトリックスレジンとの接合界面,すなわちシランカップリング層の役割は非常に重要な要素である.このシランカップリング層は長期間にわたる口腔内の装用により加水分解されカップリング効果が低下し,コンポジットレジンの機械的強さやセラミックと歯質との接着強さの減少をさせる一因であると指摘されている.本研究では,疎水性基のシランカップリング剤を新規で開発し,カップリング層の耐水性向上を図ることである.
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研究実績の概要 |
2023年度は合成したシランカップリング剤を用いたプライマー効果と試作コンポジットレジンの理工学的性質を中心に検討した. 1.新規シランカップリング剤にて処理されたガラス面の表面自由エネルギー,ならびにレジンモノマーに対するぬれを接触角計にて測定し,接着性との関連性を検討した結果,新規シランカップリング剤で表面処理したガラス面では,3-MSPならびに市販シランカップリング剤と比べて著しくモノマーの接着角が低下し,ぬれの向上が認められ,レジンとの接着性が向上した要因の一つと考えられた.2.2023年度にガラス面処理し接着した試料を水中1年保管した後に同様に引張接着試験を行い,シランカップリング剤の接着性および耐水性を3-MPSならびに市販シランカップリング剤処理と比較して評価した結果,新規シランカップリング剤で改質したガラス面に対するレジンの接着性は初期の接着強さと有意な低下は認められず,耐水性のあるシランカップリング層の構築にも寄与していると示唆された.また,ガラス破断面をSEM観察した結果もガラス面にレジンが残存している試料が多く,接着性が高かったことが明確に示された.3.試作コンポジットレジンを37℃蒸留水中,あるいはサーマルストレスを負荷させた後に曲げ試験を行った結果,3-MPS処理と比較して有意に耐水性が向上した.また,試作コンポジットレジンは水中浸漬の延長ならびにサーマルサイクル負荷後においても有意な曲げ強さの低下は認められなかった.4.試作コンポジットレジンをKausimulatorを用いた摩耗試験を行った結果,3-MPS処理と比較して有意に低い摩耗量であった. 現在のところ,試作したシランカップリング剤で処理したガラス面には耐水性のある層が構築され,コンポジットレジンのフィラー処理においても同様な傾向が認められると示唆される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的の到達度については,疎水性基を有する新規シランカップリング剤でのガラス面処理において,長期水中保管後においても初期接着強度と比べて有意な低下は認められず,ナノフィラー処理に用いて試作したコンポジットレジンにおいても物性(曲げ強さ,摩耗性)の低下は認められず,目的とする耐水性を有するシランカップリング剤の研究の進捗はおおむね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の結果より,疎水基を有するシランカップリング剤の処置効果の解析,特に耐水耐久性の要因を追求する.また試作コンポジットレジンの歯質との接着性についても確認し,合成したシランカップリング剤の効果を評価する.
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