研究課題/領域番号 |
22K10058
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
黒崎 陽子 岡山大学, 大学病院, 助教 (90759664)
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研究分担者 |
窪木 拓男 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (00225195)
三野 卓哉 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (10625718)
大野 彩 (木村彩) 岡山大学, 大学病院, 講師 (20584626)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | インプラントオーバーデンチャー / 要介護高齢者 / 可撤性床義歯 / クロスオーバー試験 / 鉤歯 / クラスプ |
研究開始時の研究の概要 |
口腔インプラントを有する要介護高齢者は増加しており,追加で欠損補綴治療が必要な患者にどのように機能回復を図るかは直近の課題である.本研究では,固定性インプラント上部構造にクラスプを付与して維持するインプラントクラスプ義歯に着目し,高齢者にインプラントクラスプ義歯とインプラントオーバーデンチャー(IOD)を装着した際に,義歯やインプラント体にトラブルが生じるか,咀嚼機能や口腔関連Quality of Life (QoL) などに差があるかを,前向き介入クロスオーバ試験により明らかにする.
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研究実績の概要 |
本研究の目的の1つは固定性インプラント義歯の歯冠部にクラスプを付与して維持するインプラントクラスプ義歯とインプラントオーバーデンチャーを有する要介護高齢者を対象とした横断調査(後ろ向き情報を含む)を実施し,インプラントクラスプ義歯やインプラント体にどのようなトラブルが生じているか,インプラントオーバーデンチャーと比較することである. 研究代表者らが実施した要介護高齢者を対象とした横断調査では,インプラント体を口腔内に有する対象者15名中インプラントクラスプ義歯を有する患者は1名,インプラントオーバーデンチャーを有する患者は2名存在し,いずれも義歯やインプラント体にトラブルは認めなかった.また,口腔内に固定性インプラント義歯と可撤性義歯が混在した患者が2名,残存歯が重度の根面う蝕や歯周病に罹患している患者が3名存在したことから,介護現場において残存歯がう蝕や歯周病により失われ,追加で欠損補綴治療が必要となる症例が少なくないことがうかがえた.さらに,固定性インプラント義歯を有する13名はいずれもインプラント部に大きなトラブルはなく,介護現場においてシステム依存的なインプラントオーバーデンチャーへの積極的な移行はなされていないことが明らかとなった. 研究代表者らは口腔インプラントを有する高齢者データベースを既に構築しており,ここからさらにインプラントクラスプ義歯とインプラントオーバーデンチャーを有する高齢者を抽出することが可能である.今後は,インプラントクラスプ義歯とインプラントオーバーデンチャーの有効性を比較するためにより詳細な情報を得るべく,データベースを元に新たに対象となる高齢者を抽出し,口腔内診査,規格化デンタルエックス線撮影,全身状態の評価,介護者への聞き取り調査を実施する研究を立ち上げ,倫理委員会への申請手続きを進める.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者らは口腔インプラントを有する要介護高齢者データベースを既に構築しており,ここからインプラントクラスプ義歯とインプラントオーバーデンチャーを有する高齢者の抽出が可能であるため.一方で,新型コロナウイルス蔓延防止のため,要介護高齢者を対象とした研究実施の立ち上げが困難な時期があり,研究開始時期にやや遅れが生じた.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,インプラントクラスプ義歯とインプラントオーバーデンチャーの横断的実態調査から始める.対象となる高齢者に口腔内診査,規格化デンタルエックス線撮影,全身状態の評価,介護者への聞き取り調査を実施する.そして,インプラントクラスプ義歯,インプラントオーバーデンチャー,インプラント体に生じているトラブル,インプラントクラスプ義歯やインプラントオーバーデンチャーの管理に伴う介護者の介護負担感や困りごとの実態を調査し,インプラントクラスプ義歯群とインプラントオーバーデンチャー群で比較する. また,全身状況が多岐にわたる要介護高齢者の横断調査では,インプラントクラスプ義歯とインプラントオーバーデンチャーの治療法の違いそのものが,咀嚼機能や口腔関連QoL,栄養摂取状況などに与える影響を知ることはできない.加えて,要介護高齢者を対象とした補綴治療介入試験は実行可能性が低い.そこで,下顎全部欠損を有する外来高齢患者に,インプラントクラスプ義歯とインプラントオーバーデンチャーによる補綴治療介入を行うクロスオーバー試験を行い,インプラントクラスプ義歯とインプラントオーバーデンチャーの咀嚼機能,口腔関連QoL,栄養摂取状況,口腔インプラント周囲の清掃状態や炎症所見に有意な差を認めるかを検討する.
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