研究課題/領域番号 |
22K10060
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
井上 美穂 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (20271059)
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研究分担者 |
大島 正充 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (00548307)
井上 正久 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (20223274)
松香 芳三 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (90243477)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 柑橘系精油 / 痛み / 口腔顔面痛モデル / 三叉神経節 / サイトカイン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、①口腔顔面痛モデルに対する精油の嗅覚刺激による痛み行動の変化解析、②三叉神経節、視床下部、大脳皮質における神経伝達物質の遺伝子・タンパク解析、サイトカインアレイ、③精油から取り出した神経節への痛み抑制成分の直接投与などを行い、口腔顔面痛動物モデルに対するアロマテラピーの痛み抑制メカニズムを解明する。
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研究実績の概要 |
目的:歴史的な背景から,補綴歯科治療において口腔顔面痛の患者を診ることもあり,神経障害性疼痛患者が来院することも多い.薬物療法や外科治療では副作用が強く,新たな治療法が求められている.我々は神経障害性疼痛モデルにおいて三叉神経節のサイトカイン関与を明らかにした.一方,近年ではアロマセラピーで用いられる精油の鎮痛・鎮静作用が注目されており,特に柑橘系のベルガモットは抗炎症・抗酸化作用や炎症促進性サイトカインを抑制するという報告がある.薬物投与となると医療的制限があるが,アロマセラピーは簡便で自己管理できるため,医療補助的ではあるものの費用対効果や有用性が高い.本研究では,口腔顔面痛モデル動物に対する精油成分の痛み抑制の評価を目的とする. 方法:三叉神経の第二枝上顎神経の枝である末梢の眼窩下神経を結紮(IONC: infraorbital nerve constriction injury),口腔顔面痛モデル動物をSDラットで作製した.精油は痛み軽減効果があるといわれているラベンダー,ベルガモット,レモン,オレンジ,グレープフルーツ,マンダリンを用いた.ゲージに精油を置き,30分吸入させた後,疼痛試験と運動能力の確認を行った.また,痛みモデルラットに精油を吸入させた後,三叉神経節を取り出し,サイトカイン遊離計測と関連するサイトカインの組織学的免疫染色を行った. 結果と考察:痛みモデルラットに対する行動実験では,ベルガモット,レモン,マンダリンの吸入後に痛みの軽減が認められた.運動計測ではラベンダー,ベルガモットでは差が認められず,他の柑橘系精油では吸入後に差が認められた.またサイトカインアレイではCXCL2がすべてにおいて、IL-10, CXCL3がコントロールよりベルガモット、ラベンダーで高い発現が認められた。今後はさらにほかのサイトカインも検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験1:口腔顔面痛モデル動物において、精油による痛み行動の変化の計測においては、 三叉神経の枝である眼窩下神経を結紮し(IONC)口腔顔面痛モデル動物を作製した。精油は痛み軽減効果があると言われているベルガモット、マンダリン、レモン、オレンジ、グレープフルーツを用いた。ラットのゲージに精油を置き、30分間吸引させる。その後、機械刺激による痛み閾値を測定することで痛み行動の観察を行った。また、ローターロッドを用いて運動能力の測定を行い、ふらつき等も確認した。精油を吸入後、ベルガモット、ユズでは痛みが軽減されたが、90分後には痛みが戻っていた。 実験2:口腔顔面痛モデル動物三叉神経節からのサイトカイン遊離計測と動態解析 口腔顔面痛モデル動物を作製し、実験1と同様に、各種精油を30分間吸引させたあと、イソフルランを用いて全身麻酔後、断頭し、全脳と三叉神経節を採取、凍結し、組織切片を作製後、免疫染色にて、抗炎症サイトカインIL-10、三叉神経節内での痛み増強に作用する炎症性サイトカインであるCXCL-2,CXCl-3、抗炎症性サイトカインのIL-10を確認した。 3月に学会発表を行い、5月にも行う予定である。今後追加事件を行い、論文作成の準備を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、口腔顔面痛モデル動物三叉神経節からのサイトカイン遊離計測と動態解析についてさらに詳しく検討する。 口腔顔面痛モデル動物を作製し、実験1と同様に、各種精油を30分間吸引させたあと、イソフルランを用いて全身麻酔後、断頭し、全脳と三叉神経節を採取、凍結し、組織切片を作製後、免疫染色にて、抗炎症サイトカインIL-10、三叉神経節内での痛み増強に作用するカルシトニン関連ペプチド(CGRP)や炎症性サイトカインであるCXCL2,CXCL3,IL-10が、三叉神経節や視床、視床下部、大脳辺縁系、扁桃体に存在するか確認する。さらに脳の各部組織を回収し定量的リアルタイムPCR、ウエスタンブロット、ERISAを行い、RNA、タンパクの定量を行う。
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