研究課題/領域番号 |
22K10079
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
大島 正充 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (00548307)
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研究分担者 |
生田目 大介 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10910218)
松香 芳三 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (90243477)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 歯 / 器官発生 / 線維芽細胞増殖因子 / 歯の再生 / 器官再生 / 形態形成 |
研究開始時の研究の概要 |
歯や唾液腺、毛髪などの外胚葉性器官を中心とした「器官再生医療」の技術開発はめざましく、発生メカニズムを利用した機能的な器官再生が可能なフェーズに進んでいるものの、再生器官のサイズや器官固有の形態を完全に制御しうるには至っていない。 そこで本課題の目標は、究極の補綴治療としての歯および顎口腔器官の再生技術の発展に向けて、これまでに報告のない線維芽細胞増殖因子群(FGFs)が顎口腔器官の発生や形態形成に及ぼす影響を解明することにより、歯や唾液腺などの器官形成の統合的理解と分子生物学的な応用を推進し、現在の再生器官に欠如している器官サイズ・形態形成の制御技術の開発に繋げる。
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研究実績の概要 |
本年度の研究計画に沿って実験を行い、以下の研究成果を得た。 1) 器官発生における未解明な線維芽細胞増殖因子群(FGFs)の抽出と局在解析:同一個体内(顎骨内)に存在する乳歯および永久歯のサイズ・形態的相違に着目し、発生期のイヌ乳歯・永久歯歯胚を比較した遺伝子発現データベースを作成し、FGFs候補遺伝子としてFGF2ならびにFGF14を抽出した。 2) FGFsの器官発生・形態形成に及ぼす影響の解析:マウス切歯歯胚の器官培養系にて、項目1)で抽出されたFGFsのサイトカイン添加を行い、器官サイズや形態形成に与える影響を観察した。FGF2による切歯の短小化、FGF14による切歯の伸長促進が認められた。FGF2添加により切歯歯胚の発生における伸長抑制とサービカルループ領域の肥大化が認められ、FGF2濃度依存的に切歯伸長の抑制効果は高くなることが示された。また、FGF2阻害剤(SU5402)を培養系に添加することで切歯の伸長が認められることから、FGF2は歯胚の伸長抑制効果があることが示された。組織学的解析では、FGF2添加によるエナメル質の減形成および象牙質形成の亢進・肥厚化が認められた。一方、FGF14添加により切歯エナメル芽細胞層の肥厚と増殖、多層化が認められた。以上より、FGFsが歯胚発生・形態形成に関与していることが示唆された。 3) FGFsによる発生/形態形成関連遺伝子の変動解析:FGF2およびFGF14添加による歯胚上皮/歯胚間葉の遺伝子発現を未分化・分化マーカーを指標に解析中である。4) FGFs刺激による歯胚・唾液腺原基細胞の3次元動態解析:次年度以降に実施予定。5) 再生器官に対するFGFs応用による器官サイズ/形態的検証:次年度以降に実施予定。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度までにFGFsによる歯胚の形態形成に変化が現れており、FGF2阻害剤(SU5402)を培養系に添加することで歯胚伸長が認められることから、FGFsの効果によって今回の形態変化が生じていることが実証された。本研究における研究的エビデンスが得られていることから、上記の結果を考慮するとおおむね順調に進行していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況は順調であるため、計画された内容に沿って進めていく。抽出された遺伝子群の局在と機能予測のもと、FGFs添加による組織解析およびFGFs濃度による伸長抑制が明らかとなり、サービカルループ領域の形態変化が示された。また、FGF2の阻害剤を添加した器官培養系を構築したことにより、器官サイズおよび形態変化に及ぼす影響は、添加されたFGF2による効果であることが明らかとなり、今後の研究を進めるにあたり確固たる地盤をされたと考えられる。 最終年度はFGFs添加による歯胚発生の形態変化をより詳細に解析するため、歯胚の器官培養後の上皮組織・間葉組織における走査型電子顕微鏡解析を予定する。また、FGF2およびFGF14添加による歯胚上皮/歯胚間葉の遺伝子発現を未分化・分化マーカーを指標に解析を進めるとともに、FGFs刺激による歯胚の3次元動態解析、再生器官に対するFGFs応用による器官サイズ/形態的検証を進めていく。
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