研究課題/領域番号 |
22K10080
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松崎 達哉 九州大学, 歯学研究院, 助教 (70736694)
|
研究分担者 |
鮎川 保則 九州大学, 歯学研究院, 教授 (50304697)
松崎 麻貴 九州大学, 歯学研究院, 共同研究員 (50757987)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | マイクロギャップ / バイオメカニクス / メカノバイオロジー / インプラントコネクション / 歯科インプラント / インプラント周囲炎 / 骨吸収 |
研究開始時の研究の概要 |
インプラントの機能負荷開始早期に過度な応力により周囲骨が吸収する症例が問題となっており、力と感染の相関は未だ明らかになっていない。今回はインプラント周囲の骨吸収を惹起する感染に大きな影響を与えると言われている「マイクロギャップ」に注目した。荷重による金属のひずみで生じるインプラント体-上部構造間の僅かな隙間が嫌気性細菌感染の温床となる。本研究ではこのギャップの骨からの距離によって生じる骨吸収に差があるとの仮説を立て、埋入深度の違いによる荷重負 荷時の骨変化を形態学的・組織学的に検討し適切な上部構造作製のための生物学的・生体力学的プロトコールを確立させるためのデータ収集を目的とする。
|
研究実績の概要 |
歯科インプラントにおけるインプラント体ーアバットメント間に存在するマイクロギャップの為害性は既知の事実であり、現在問題となっているインプラント周囲炎の発生と大きく関与していると考えられている。インプラント上部構造装着後(プロビジョナルレストレーション装着後)の機能負荷開始時点からマイクロギャップの影響が強く見られることから、機能負荷による応力の発生とマイクロギャップの離開は大きく関与していると考えられる。 昨年度は、本研究課題において、マイクロギャップが生じる因子をインプラントーアバットメントの連結機構及びインプラント上部構造装着後に付加される応力量に限定し、荷重負荷量の違いによるマイクロギャップの動態の変化について観察するという研究計画に基づいて実験を実施した。 静滑車によるインプラントーアバットメント連結体への荷重負荷装置を九州工業大学坂井准教授のご協力のもと製作し、インプラントーアバットメント連結部 のマイクロギャップの動態を実体顕微鏡にて観察および記録した。荷重負荷量を変化させることで、ギャップの離開量に変化が見られるが、ある一定の荷重量を超えた時点でマイク ロギャップの離開量はプラトーに達することが示された。 また、マイクロギャップの観察が容易なバットジョイントタイプのインプラント体について、インターナルコネクション・エクスターナルコネクションの2タイプについて荷重量の違いによるマイクロギャップ量の変化を観察し、コネ クションの形状やタイプの違いによってマイクロギャップ量に大きな差があることが判明した。 加えて今年度は現在主流に使用されるテーパーコネクションについて、締付けトルクの違いによりインプラント体に外開きの応力が発生することから、補綴装置の沈みが起こることを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在主流のテーパーコネクションの接合部の観察が困難であったが、デジタル機器を用いたことでようやく沈み込み量の解析が行える事となり、これにより現存する3種類のコネクションの比較検討ができるようになった。 研究計画は概ね順調に進展していると思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度の実験により荷重負荷量によるギャップの離開量の変化について、ある一定の荷重量を超えた時点でマイクロギャップの離開量はプラトーに達することが複数のメーカーのインプラント体で示された。 また、マイクロギャップの観察が容易なバットジョイントタイプのインプラント体について、インターナルコネクション・エクスターナルコネクションの2タイプについて荷重量の違いによるマイクロギャップ量の変化を観察したが、2つのタイプによって大きな差があることが判明した。 次年度は本現象に対してより学術的な考察を加えるため、FEMモデルを作成し、連結機構の違いによって、どのような機序で本年度得られたようなマイクロギャップの離開量の違いが生じるのかをシミュレーションする予定としている。また、テーパーコネクションによるインプラントが外開きに受ける力、インプラント体にかかる主応力を考察するため、骨模型を用いたひずみ計測実験も考慮する。
|