研究課題/領域番号 |
22K10106
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
豊下 祥史 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (20399900)
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研究分担者 |
川西 克弥 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (10438377)
菅 悠希 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (20803620)
高田 紗理 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (30835781)
越野 寿 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90186669)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | Alzheimer病 / 咀嚼 / コレステロール |
研究開始時の研究の概要 |
本研究者は最近、咀嚼機能の維持が大脳皮質中の神経細胞による脳由来神経栄養因子の分泌を促進し、さらにこの脳由来神経栄養因子のレセプター発現に必要となるコレステロール合成が上昇することを見出した。そこで、アルツハイマー病の大脳皮質中の神経細胞へのアミロイドベータ(Aβ)の集積が神経細胞膜上のコレステロールの停滞と関係があることに注目し、本研究ではコレステロールの輸送活性、コレステロールの神経細胞外、細胞内の分布を調べることによって咀嚼機能とコレステロール輸送の関係を明らかにし、咀嚼機能の維持がアルツハイマー病の進行抑制に有効かどうかを検証することを目的としている。
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研究実績の概要 |
咀嚼は高齢期における認知機能の維持に重要な役割を担っており、疫学調査においては、咀嚼機能と認知症発症の関係も指摘されている。本研究では、認知症の中でも高い割合を占めるAlzheimer病について、その発症に関連が深いとされる可溶性のアミロイドベータオリゴマーに着目し、高齢期前の咀嚼習慣の違いがAlzheimer病の予防に及ぼす影響を、モデル動物を用いて検証した。動物種はWistar雄性9週齢のラットとし、液体飼料を給餌する液体群と、液体飼料と同等の栄養素を含有する固形飼料を給餌する咀嚼群を設定し、12週間飼育した。飼育後、脳組織を一塊として取り出し、可溶性アミロイドベータオリゴマーの濃度をEliza法により測定した。さらに、Glowinskiの方法を用いて、脳組織を大脳、海馬・中脳・線条体、視床下部、小脳、延髄の5つの部位に分割し、それぞれの部位におけるアミロイドベータオリゴマーの濃度を測定した。 Alzheimer病の発症に関与するアミロイドベータ42の濃度は、全脳組織において、固形群より液体群で有意に濃い値を示した。一方、分割を行った各組織においては、固形群より液体群のほうでアミロイドベータ42の濃度が高い傾向を示したが有意な差は認めなかった。以上の結果から、咀嚼はアミロイドベータ42の産生を抑える効果があり、その効果は脳組織の中で限局的ではなく、広く全体的に影響していることが示唆された。さらに、脳組織の免疫組織染色により、固形群と液体群のアミロイドベータの沈着を確認したところ、液体群に多くの沈着が認められた。咀嚼は可溶性のアミロイドベータ抑制の効果のみならず、線維化したアミロイドベータの神経細胞への沈着も抑制する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の前半部分にあたるアミロイドベータに対する咀嚼の効果は、可溶性のアミロイドベータ42および不溶化したアミロイドベータ42で確認をすることができた。現在、アミロイドベータの神経細胞への集積に関与することが報告されているコレステロールの検出について検討を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
神経細胞へのアミロイドベータの集積に関わるとされるコレステロールの分布について実験を進めていく予定である。神経細胞外・細胞膜上・細胞内におけるコレステロールの分布分析について、固形群と液体群の脳組織を取り出し、固定、薄切切片作成後、コレステロール染色液を用いて染色を行い、神経細胞内、細胞膜上、細胞外に分布するコレステロールを観察し、染色領域の面積比を求めることで分布の相違を検討する。
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