研究課題/領域番号 |
22K10110
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
新谷 明一 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (60440054)
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研究分担者 |
石田 祥己 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (50779923)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 光学印象 / 印象精度 / 口腔内スキャナー / 光学特性 / デジタル補正 / デジタルデンティストリー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、口腔内で使用される頻度の高い材料でかつ、大きく光学特性の異なる3種類の材料を対象とした形状測定から得られたデータを分析することで、それらが口腔内スキャナーの精度におよぼす影響を明らかにするとともに、各材料固有の補正値を明らかにすることで、研究用デジタル模型およびデジタル支台歯の測定精度を向上させる。ここから得られる知見は、口腔内スキャナーを用いて印象採得する時には必要不可欠な要件となり、口腔内スキャナーの普及・発展と共に歯科医師および歯科技工士の作業負担の軽減となる。さらには、長期的に予後良好な補綴装置の製作を可能とし、国民の健康に大きく寄与することが予測される。
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研究実績の概要 |
本研究は、光の反射率が異なる歯科材料を対象として、①光の反射率の違いが口腔内スキャナーの計測精度に及ぼす影響を明らかにするために、取得された三次元データと基準モデルとの比較を行う。次に、②計測対象を支台歯として得られた三次元データから製作された補綴装置の適合精度の検討を行うことで、質の高い補綴装置製作に必要な口腔内スキャナーの特徴およびその補正方法を明らかにすることを目的とする。令和4年度はその最初のステップとして歯を構成する材料の光学特性が口腔内スキャナーの印象精度に及ぼす影響について研究を行った。まず、異なる光学特性を有する歯の材料として、天然歯エナメル質、金属、コンポジットレジンを選択した。令和5年度では、さらに3種類の合金(金合金、銀合金、金銀パラジウム合金)を追加し、それらの合金から製作された支台歯に対して口腔内スキャナーから採得された三次元データと三次元形状測定機から得られた基準モデルとの比較を行って、デジタル上での計測精度を明らかにする。令和4年度の研究で使用した大臼歯支台歯モデルを参考に金合金、銀合金、金銀パラジウム合金を用いた支台築造を行い、金属製支台歯グループを追加製作した。対象とする歯は下顎第一大臼歯として、それらを昨年と同様にファントームの歯列模型の同じ位置に装着できるよう、デジタル印象の条件を規格化した。完成した規格に沿って、それぞれの材料で構成された大臼歯を口腔内スキャナーでそれぞれ10回ずつ撮影し、三次元大臼歯デジタルモデルを製作した。撮影が困難な場合はチタンパウダーを塗布した条件を追加した。比較対象(コントロール)となる基準3Dモデルの構築には、新たに導入した三次元測定機を用いて行った。しかしながら、合金製支台歯が撮影時の光を乱反射させてしまうことや、隣在歯のアンダーカット部の撮影が困難であることなどから、基準3Dモデルの製作が困難であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度は支台歯の材料として異なる色調を持った金属(銀合金、金銀パラジウム合金、金合金)の支台歯製作を中心に研究を進めた。材料を変化させる対象歯は昨年と同様に下顎第一大臼歯を対象とした。その結果、金属ではうまくスキャンできない場合があり、チタンパウダーの塗布が必要であったり、撮影条件の変更が求められた。また、基準モデルのスキャンに際し、新たに導入された三次元測定機を利用するも、昨年から使用している形態では、スキャンニング困難な部位が認められ、対象とする支台歯の形態の変更が求められる可能性がある。また、研究の対象となる歯列模型も、学生実習で使用しているものと同様の物を選択したが、上下の咬合位が安定せず、咬合採得時の再現性が担保できない可能性がある。次年度は、これらの問題に対して新しい歯列模型を探し、適切な基準モデルが製作可能な支台歯形態および、計測条件をもう一度、検討する必要があると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
新たに製作した3種類の金属製支台歯を、昨年導入した新しい三次元形状測定機を用い基準3Dモデルとしてデジタル化することが困難であることが判明したため、支台歯の形態を刷新する必要が生じている。また、口腔内スキャナーでデジタル印象した結果と基準3Dモデルとの重ね合わせ方法は、専用プログラムを用いることで可能であることが昨年の結果から明らかとなっているので、本年度は精度の高い基準3Dモデルの製作を中心に行う予定である。これには、一昨年から使用していた支台歯形態の変更や顎模型の変更も含めて行う必要があり、本研究の計画の大きな変更も視野に入れる必要がある。
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