研究課題/領域番号 |
22K10130
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
照光 真 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (60401767)
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研究分担者 |
高野 正行 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (50197117)
高堂 裕平 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 脳機能イメージング研究部, 主幹研究員 (60593564)
福田 謙一 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (80228907)
梅田 聡 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (90317272)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 口腔顔面痛 / 慢性疼痛 / 中枢性感作 / fMRI / MR spectroscopy / MEGA / GABA / 動的因果解析 / 機能的MRI / MRスペクトロスコピー / Dynamic Causal Modeling |
研究開始時の研究の概要 |
口や顔の痛みが慢性化して難治性となる場合がある。その要因の一つとして、脳を含めた中枢神経が痛みを過剰に増幅してしまう中枢性感作があげられる。脳の興奮性と抑制性の神経の活動性や、自分の生体内の感覚を受容する内受容感覚の働きが関係するとされる。本研究では、内受容感覚と痛みの不快な感覚を司る脳領域の間でどのように脳機能が結合しているか、そして興奮・抑制性神経の活動がそこにどのように関与しているのかを実際に患者さんの脳においてMRIで計測する。
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研究実績の概要 |
本研究は、口腔顔面領域の慢性疼痛における脳機能を検索するものである。特に、末梢には疼痛の原因となる病変は治癒もしくは検出ができないレベルであるにもかかわらず、慢性疼痛が持続している場合に対して、痛みの脳での情報処理機構を明らかにしようと試みている。中枢神経系での痛みの異常な増幅は、中枢性感作と呼ばれ多くの機構が関与している。本研究では、生体内の情報処理、すなわち内受容感覚の亢進もしくは低下が疼痛の中枢性感作に関与していると仮説を立てた。この検証のため、患者群と正常被験者に対して、中枢性感作の正確性を計測する行動科学実験、機能的MRIで内受容感覚と痛みの想起(tactile imagery)課題での脳機能解析により賦活領域の間での機能的結合の動的な因果性を検索、そして脳のネットワーク強化と抑制に関する神経代謝産物(GABA、グルタミンとグルタミン酸)をMRスペクトロスコピーで定量的に計測する。 2022年度は、研究の柱となる上述の3つの実験の実施方法の確立とデータ取得を開始した。行動科学実験は、自己心拍計測と時間推定の2課題により内受容感覚の正確性を検査する方法とプロトコール、解析方法を確立した。機能的MRIは、自己心拍計測と口腔顔面の痛みを想起するtactile imageryを音声指示で課題遂行するプロトコールを策定した。MRスペクトロスコピーは、本研究のための特殊な計測方法MEGAをMRI装置に組み込み、最適なデータ取得できるように調整した。すでに患者群と正常被験者群でのデータ取得の開始、解析方法の確立などを行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
行動科学実験は、分担研究者の心理学研究室で行われている方法を外来で行えるように改変して、データ取得と解析を実行中である。機能的MRIは、研究用データ取得をできるようにMRI施設と契約した。課題遂行を伴う機能的MRIは、被験者が正確に課題を遂行してもらう必要があるが、使用するMRI施設には課題指示のための視覚提示ができない。このため音声指示による課題提示プロトコールを確立した。GABAを正確に測定できるMRスペクトロスコピーのパルスシークエンスMEGAを装置に導入した。分担研究者らと計測のためのパラメータ調整の予備実験を行い、良好なデータを取得できるようになった。この解析には、米国の研究者が加わることとなった。いずれも予備実験を終了し、患者群と正常被験者群でのデータ取得を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
患者群と年齢、性別を合わせた正常被験者さんの募集を進める。大学や病院内で広報して、ボランティア被験者さんを募集する。もし集まりが良くない場合は、何らかの形でネットで募集や費用はかかるが、人材派遣会社への依頼も検討する。 機能的MRIの解析が高度なものとなる。課題を伴ったのデータを動的因果解析を行うための方法確立する。さらにMRスペクトロスコピーで得られた結果の抑制性神経伝達物質のGABAと興奮性神経伝達物質であるグルタミンとグルタミン酸の定量結果を仮説の脳領域である島皮質と前帯状回に組み込んだ2領域間回路モデルを設定する。この領域間での情報の流れ、機能的結合性をシミュレートする解析を行う。また、中枢性感作に対する質問紙の結果を共変量として、機能的MRIデータのPsychophysiological interaction (PPI)解析を行う。これらの解析には、心理学と神経科学が専門である慶応大学の分担研究者や、すでに協力関係にある北海道大学の脳機能解析研究者らと共同して行ってゆく。
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