研究課題/領域番号 |
22K10138
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
浅香 卓哉 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (80637265)
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研究分担者 |
北川 善政 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (00224957)
吉川 和人 北海道大学, 大学病院, 助教 (00637267)
大賀 則孝 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (40548202)
佐藤 淳 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (60319069)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | MRONJ / HBO / ARONJ / 唾液 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(ARONJ)に対する外科的消炎術の実施時に高気圧酸素療法(HBO)の有効性を報告し、本邦においてもARONJに対するHBOが普及し始めているが、HBOがどのような機序でARONJの治療に寄与するかは解明されていない。また、HBOの適正な実施期間や時期に関しても解明されていない。本研究ではFDG-PETにおけるMetabolic Activityによる新たな視覚的、定量的な骨髄炎活動性の評価法を活用し、最適なHBOの運用を探索する。基礎研究として患者検体を用いて骨代謝や血管新生などを中心にHBOの効果を検討し、再生治療を併用したより効果的な治療戦略を確立する。
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研究実績の概要 |
これまで当科では薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)55例に高気圧酸素療法(HBO)を実施してきた。55例中40例が外科的消炎術に併用してHBOを実施し、15例が疼痛や感染制御を目的として消炎目的にHBO単独で実施された。手術時のHBO実施回数の中央値は30回であり、消炎単独でのHBOの実施回数中央値は20回であった。HBO併用の外科的消炎術実施時における消炎の奏効率は34/40例であり、HBO単独での消炎時における奏効率は8/15例であった。 また、16例のMRONJの手術前に20回のHBOを実施していた症例を抽出し、その前後での臨床検査結果を解析した。HBO前後での血液検査では白血球数ならびにCRPの有意な改善は認められず,CRPにおいてはむしろ上昇傾向を示しており、原疾患による影響が考えられた。一方で、顎骨定量SPECTを用いたモニタリングでは、[病変部のSUVmax]から[頭頂骨SUVmaxの平均値]を除した補正SUVmaxにてHBO前後での比較を行ったところ、HBO前後で有意な低下を認めた。さらにMetabolic bone volume([頭頂SUVmaxの平均値に3を加えた閾値以上の集積範囲)を同様に算出して比較したところ、MBVでも有意な低下を認めた。 HBOの実施回数に関しては、統計解析上有意差は認められないものの、30回前後の実施症例に関しての多くが、骨露出の再発を認めず、良好な予後が認められる傾向にあった。 一方で消炎目的にHBOを実施した症例で10回程度でも一定の消炎効果が確認されたため、症例に応じて回数を選択することでHBOの有効の可能性が示唆された。引き続きより詳細な解析をすすめていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象症例となるMRONJで手術を必要とする患者がやや減少しており、研究対象症例が十分に蓄積されていない。
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今後の研究の推進方策 |
新規症例を確保しつつ、術前のみ実施群、術後のみ実施群、術前後実施群での3群に分けてARONJ症例を最低各5例ずつ分類した上で、術前の抗炎症効果と術後の治癒促進効果に着目し、1)術後経過に関する創部評価、2)FDG-PET/3phase骨シンチグラフィーによる画像評価、3)手術標本での免疫組織学的評価、4)フローサイトメトリーによる唾液中免疫細胞解析を予定し、効果的な術前HBOの回数や必要性、さらにその基礎的な機序解明を行う。
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