研究課題/領域番号 |
22K10145
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
相川 友直 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (00362674)
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研究分担者 |
宮川 和晃 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教 (50635381)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 骨吸収 / 扁平上皮癌 / SCC / 破骨細胞 / インターロイキン7 / RANKL |
研究開始時の研究の概要 |
口腔がんは骨を著しく吸収させながら深く浸潤するタイプと、骨吸収も浸潤も弱いタイプに分類され、前者の治療は困難になる。今までの研究から、インターロイキン7(IL-7)を発現するがん細胞は骨吸収が強く、骨に浸潤する可能性があること、IL-7ががんに浸潤した免疫細胞に作用して、骨吸収を促進する可能性を考えて本研究を計画した。 本研究では、IL-7が癌微小環境で、どのように破骨細胞形成を促進するのかを研究する。
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研究実績の概要 |
マウス扁平上皮癌細胞株SCC7細胞由来の4系統の亜株細胞を正常免疫を有するC3H/HeJマウス、すなわち、シンジェニックマウスの頭頂部に細胞を移植し、それらの骨吸収状態をマイクロCT撮影および組織学的に評価した。4系統の亜株のうち最も骨吸収をきたす細胞株(SCC7A株)と最も骨吸収が少ない細胞株(SCC7B株)を研究に用いた。2つの亜株細胞は遺伝子配列的に同一細胞であった。 SCC7A亜株腫瘍の骨吸収部位に発現する遺伝子とSCC7B亜株腫瘍の骨吸収に乏しい部位に発現する遺伝子の特徴をRNAシークエンス法で比較検討した結果、SCC7A亜株腫瘍の骨吸収部にはインターロイキン7(IL-7)が高発現していた。SCC7A亜株の腫瘍の骨吸収は、抗LI-7中和抗体の局所投与あるいは腹腔内投与で抑制されたため、SCC7A亜株細胞のがん微小環境における骨吸収機序として IL-7を軸とした解析に取り組んだ。SCCA亜株腫瘍とB亜株腫瘍の骨吸収の差異、破骨細胞形成の差異、骨吸収関連遺伝子発現の差異、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の差異について検討した。その結果、以下の結果を得た。①シンジェニックマウス移植腫瘍ではSCCA亜株の骨吸収と破骨細胞形成が見られたが、ヌードマウス移植腫瘍ではなかった、②シンジェニックマウス移植腫瘍のTILをCD3抗体染色で評価すると、SCC7A亜株腫瘍内のに有意なT細胞浸潤が観察された、③シンジェニックマウスのSCC7A亜株腫瘍のRANKL遺伝子発現、TRAP遺伝子発現、カテプシンK遺伝子発現は抗IL-7中和抗体投与により著しく低下した。④TILのFACS解析のよりCD4陽性T細胞がRANKLを発現した。 SCC7A亜株が産生するIL-7がT細胞のRANKL発現を誘導し、破骨細胞形成、骨吸収に関与することが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題申請後で、課題採用以前の2022年1月に前任機関(大阪大学)から現機関(広島大学)に移動となった。異動前後の数ヶ月間は研究遂行できなかった。そのため、共同研究者である分担者が大阪大学で研究を遂行しており、現在は現機関での研究体制も整得ることができた。本年度に計画していたSCC7A亜株細胞腫瘍内の浸潤リンパ球の解析にも着手できており、概ね順調といえる。
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今後の研究の推進方策 |
扁平上皮癌腫瘍内のT細胞浸潤とT細胞での破骨細胞誘導因子であるRANKL発現が本腫瘍の骨吸収に関連していると考えており、そのままいかなるサブセットのT細胞が誘導され、どの細胞がRANKLを発現するのか、発現されたRANKLは骨吸収に関連しているのか、扁平上皮癌細胞が産生するIL-7がとT細胞でのRANKL発現の軸がどこまで重要であるのかを検討する予定である。 手法としてはTILのFACS解析を進める。加えて、臨床検体を用いて、口腔扁平上皮癌の骨吸収病変におけるIL-7発現と破骨細胞形成を検討する予定である。
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